2015年 12月 07日
商標 平成27年(ワ)第9476号 (商標・権利の濫用 サンワード/キイワ) |
◆商標権の権利行使が権利濫用と判断された事件。
【権利の濫用、商標権】
「…①参加人は被告サンワードに本件各商標権を譲渡する旨の契約を締結したにもかかわらず,被告サンワードの営業が軌道に乗り始めるや,自ら本件各商標を使用した営業を再開したいと表明するに至ったこと,②参加人は,本件各商標の被告サンワードへの移転登録が未了であったことを奇貨として,Bの娘である原告に対し,無償で本件各商標権を譲渡し移転登録をしたこと,③本件各商標権の譲渡及び本件各移転登録は参加人及びBが主導したものであり,原告は参加人の営業に一切携わっておらず,本件商標権を使用する意思もないこと等が認められる(なお,原告が別件訴訟等の当事者となっていることやBの手紙(乙7の13)の記載等に照らすと,原告はこれらの各事情について十分知悉しているものと推認できる。)のであるから,これらの事情を総合すると,本件請求は,実質的には参加人及びBが主導する本件各商標権の行使に名を借りた不当な請求とみるほかなく,権利濫用として許されないというべきである。」
・ポパイ事件(最昭60(オ)1576)
「…本件商標は右人物増の著名性を無償に利用…公正な競業秩序を乱すものとして、正に権利の濫用というほかにない。」
・メロン熊事件(平成25年(ワ)第7840号)
「本件キャラクターが周知性,著名性を獲得し,強い顧客吸引力を得たことを奇貨として,本件の権利行使をするものというべきである。」
◆関連文献
☞ 「…取得経過や取得意図、商標権行使の態様等によっては、…公正な競争秩序を乱すものとして権利の濫用に当たり、許されない場合がある。」
(岡口基一、要件事実マニュアル3(第4版)、581頁)
(2015.12.7. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2015-12-07 18:47
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