2016年 01月 04日
特許 平成27(ネ)10031 ピタバスタチンカルシウム塩控訴審 |
◆均等の第1要件および第5要件を充足しないと判断された事件。均等不成立。
(知財高裁第4部 高部裁判長) (2016.1.4. 弁理士 鈴木学)
(日産化学工業vs.ダイト㈱etc)
【均等論、§70、第1要件、第5要件、本質的部分、意識的除外】
(第1要件について)
「本件各発明において,構成要件C・C’に規定された15本のピークの回折角の数値は,本件各発明の課題の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分であるというべきである。
ウ そうすると,控訴人が被控訴人製品に含まれるピタバスタチンカルシウム塩における15本のピークの回折角であるとする数値は,前記1(5)のとおり,原判決別紙物件目録記載1のとおりであり,控訴人の特定する数値に依ったとしても,15本のうち9本は構成要件C・C’の回折角の数値と相違するのであるから,被控訴人製品は,本件各発明と課題の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分において相違していることになる。
以上によれば,被控訴人製品は,均等侵害の第1要件を充足しない。 」
(第5要件について)
「以上によれば,本件各特許の出願経過においてされた上記各補正は,本件各発明の技術的範囲を,回折角の数値が15本全て一致する結晶に限定するものであると解されるから,構成要件C・C’の15本のピークの回折角の数値と,全部又は一部がその数値どおり一致しないピタバスタチンカルシウム塩の結晶は,本件各発明の特許請求の範囲から意識的に除外されたものであるといわざるを得ない。
したがって,被控訴人製品は,均等侵害の第5要件を充足しない。 」
by manabu16779
| 2016-01-04 12:12
| 特許裁判例
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