2016年 01月 05日
商標 平成27(行ケ)10162 「Tiara」(§4①16)審決取消訴訟事件 |
◆指定商品を「イヤリング、ネックレスetc」とする商標「Tiara」(ティアラ)が§4①16に該当するとした拒絶審決が知財高裁でも維持された事件。
【品質誤認、4条1項16号】
・ティアラとイヤリング等は関連する商品でないから品質誤認は生じないという主張は認められる?
「…原告は,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに関連する商品」ではないし,本願商標を本件補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に使用しても,取引者,需要者において,商品の品質について誤認を生ずるおそれはないから,本願商標は,商標法4条1項16号に該当しない旨主張する。
しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 原告は,…商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに関連する商品」ではない旨主張する。
しかしながら,前記ア認定のとおり,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,いずれも身飾品に属する別の種類の商品であって,共に貴金属店や宝飾品店のみならず,インターネットでも販売される商品であること,特に結婚式等で身に着ける商品として,「ティアラ」と本件補正後の指定商品とが併せて紹介され,展示又は販売されることが多く,また,貸し出されることもあること,そのため取引者,需要者が共通することからすると「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに関連する商品であることが認められるから,原告の上記主張は,採用することができない。 」
・4条1項16号についての規範部分
「 商標法4条1項16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのは,商標を構成する文字,図形が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。
そうすると,本願商標が商標法4条1項16号に該当するというためには,本件審決がされた…時点において,取引者又は需要者において,本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本願商標が表示している特定の商品の特性と指定商品が有する特性が異なるため,本願商標を指定商品に使用した場合に,本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを要するものと解される。また,現実に商品の品質の誤認が生じている必要はなく,本願商標と商標が使用された商品との関係で客観的に誤認を生ずる蓋然性があれば,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるということができるものと解される。 」
(知財高裁第3部 大鷹裁判長 審×→判×)
(2016.1.6. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-01-05 13:13
| 商標
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