2016年 01月 08日
特許 平成27(行ケ)10116 日亜vs.三洋無効審判控訴審 |
◆無効審判では進歩性有りと判断されていたが、知財高裁で容易想到と判断されて審決が取り消された事件。
(知財高裁2部 清水裁判長 審◯→判×)
【進歩性、引用発明、技術常識】
「 しかしながら,甲4に…コンタクト抵抗を減少するために転位に着目したとの明示的な記載はないとしても,技術常識等を踏まえた上で先行文献に接する当業者は,甲4発明から,機械加工により生じた転移の除去によるコンタクト抵抗の低減という機序を読み取ることができる。また,鏡面仕上げ後のエッチング処理によりコンタクト抵抗を低減させた甲4発明は,同時に,コンタクト抵抗増大の原因が鏡面仕上によってはすべて解消できないことを示唆しているのであり,上記技術常識等を踏まえれば,転位を除去すれば更にコンタクト抵抗を低減させられるとの知見に達するのは容易といえる。
なお,加工変質層をどの程度除去すべきかは,要求される用途等の必要性に応じて適宜に定めることであり,その必要性がないのに常にすべての加工変質層を除去すべきものではないが,コンタクト抵抗の低減のために加工変質層を除去する選択をすること自体が容易であることに変わりはない。
被告の上記主張は,いずれも採用することができない。 …
以上のとおりであり,取消事由2は,理由がある。 」
(2016.1.8. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-01-08 18:19
| 特許裁判例
|
Comments(0)