2016年 01月 15日
意匠 平成26(ワ)11576 カラーコンタクト意匠権侵害訴訟事件 |
◆カラーコンタクトの意匠の類否が争われ、非類似と判断された事件。
◆Memo
【意匠の類否、要部、意匠法23条、写真に写り込んだ影の取扱い】
「(ウ) 類否
前記(3)認定のとおり,本件意匠において,需要者の注意を惹きやすい特徴的部分(要部)は,その虹彩部に対応する内周部及び外周部の色彩,模様のデザインのうち,内周部の点状の模様の色彩及び形状,黒色線の形状,配置等の細かな具体的構成態様そのものと,通常は透明であるべき瞳孔部分に対応する中心部に及んで施されたぼかし模様である。
そうすると,イ号意匠は,本件意匠の要部である黒色線の形状,配置等を備えているが,内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっていることから全体的に需要者に異なる美感を与えるものというべきであって類似しているとはいえない。
なお,原告は,両意匠の共通点と認定した黒色線状の形状,配置等につき,外周部を黒色線状により表現し,外周部の外縁を不規則(シャギー状)とすることで使用時の自然さを表現することを意識した点が,公知意匠にない最も特徴的な部位であるから,この点が同じイ号意匠は,本件意匠に類似する旨主張する。しかし,前記のとおり,黒色線が不規則に配置されている意匠は公知意匠にも存するのであるし,仮に公知意匠にないとしても,本件意匠とイ号意匠は内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっているのであるから,特徴的部分の一部が共通するからといって,それだけで両意匠を類似しているということはできない。
オ 結論
したがって,本件意匠とイ号意匠とは類似しているということはできない。 」
・当業者であれば「影」であってコンタクトの模様でないことは明確に認識できると思われるが、このぼやけ(ぼかし)も意匠を構成するものと認定されている。
・写真で意匠出願する際には影にも注意。
→ 「ライティングを工夫すればそのような影が生じないように写真撮影をすることは技術的に可能」
→ 「写真によらずに図面を願書に添付して出願することが可能だったはず」
→ 「図面代用写真で用いた不利益は原告において甘受するほかないというべきである。 」
・なお、「影」であることは裁判所も認めている、その上で意匠の構成要素となると判断。
・公知部分を引き算的に捨象して要部認定。
(大阪地裁 森崎裁判長、冨宅弁護士、堀籠弁護士)
(2016.1.15. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-01-15 18:19
| 意匠
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