2016年 01月 18日
商標 平成27年(行ケ)第10096号 FC2vsドワンゴ商標無効審判控訴審(§4①11) |
◆4条1項11号で引用された商標権が事後的に消滅した件で引用商標の適格性が争われた事件。
◆Memo ・他に、商品と役務の類否についても判断されている。 → 商品「電子計算機用プログラム」≒ 役務「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」 (2016.1.17. 弁理士 鈴木学)
【商標、§4①11、§46、§50、引用商標の商標権消滅】
(判断基準時)
「 原告は,上記事実経過から,本件は,本件商標の登録査定時には引用商標が存在していたが,本件商標の設定登録時には引用商標が消滅していたという特殊
な場合であり,その不都合を回避する必要があるから,本件商標の設定登録時をその無効理由の判断基準時とすべきである,と主張する。
しかし,商標法4条1項各号所定の商標登録を受けることができない商標に当たるかどうかを判断する基準時は,原則として登録査定時である(最三小平成16年6月8日判決,裁判集民事214号373頁)ところ,同条1項11号に関しては,当該商標の登録出願前に出願された他人の登録商標又はこれに類似する商標と対比しつつその商標登録の可否を検討し,拒絶の理由を発見しないときは商標登録をすべき旨の査定をしなければならない(商標法16条)のであるから,同条3項の適用を受けることなく,当該登録査定時をもって上記判断基準時と解すべきものである。」
(引用商標の適格性)
「 また,原告は,不使用取消審判において商標登録を取り消す旨の審決が確定した引用商標には,商標法4条1項11号で保護すべき業務上の信用が存在せず,本件商標との間で出所混同のおそれもないから,これらの事情を考慮しない本件審決は,信義則に照らし違法である,と主張する。
しかし,商標権について,その不使用を理由とする商標登録取消審判請求には特段の期間制限がないことからすれば,将来,引用商標の商標登録が取り消される可能性があるということのみで,登録査定時に考慮すべき引用商標としての適格性がないと判断することはできない。また,原告の主張する,保護すべき業務上の信用や出所混同のおそれがないことは,引用商標についての不使用を理由とする商標登録取消審判において商標登録を取り消す旨の審決が確定したことを理由とするものであるところ,上述した商標法54条2項の趣旨からすれば,当該取消審決の商標登録取消しの効果を当該審判の予告登録時より更に遡及させることは相当でない」
by manabu16779
| 2016-01-18 12:08
| 商標
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