2016年 01月 22日
特許 平成26年(ワ)第34145 アスクルeコマース特許侵害事件 |
◆アスクルのインターネットショップが原告特許権を侵害しているか否かが争われた事件。非侵害。
【ソフトウェア関連発明、侵害論、技術的範囲、用語の解釈、特許法70条】
「原告は,①本件特許の特許請求の範囲には「注文情報」に商品基礎情報が含まれていなければならないなどといった記載がない,②前記意見書(乙20)の記載は,POSを実現するためには注文された情報をサーバ側で正確に特定できる構成にする必要があること,注文された情報をサーバ側で正確に特定する実施例の1つとして注文情報の中に商品基礎情報を含める構成があり得ることを指摘したものにすぎないから,構成要件F4,G及びHの「注文情報」とは商品基礎情報を含む情報をいうと解釈することはできない旨主張する。
そこで判断するに,上記①については,前記イで説示したとおり,本件特許の特許請求の範囲の記載に加え本件明細書の記載を参酌すると「注文情報」には商品基礎情報が含まれると解釈すべきであるから,特許請求の範囲にその旨の明示的な記載がないことをもって,「注文情報」に商品基礎情報が含まれている必要はないと解釈すべきことにはならない。 また,上記②については,上記意見書(乙20)には「この点,本願発明では,既に受信した注文情報に,該更新以前入力(選択)された商品の識別情報と該入力(選択)された識別情報に対応する商品基礎情報が含まれているので,改めて,商品マスタDBを参照する必要はなく,注文明細情報が実データとして管理されます。」との記載があるところ(乙20の13頁),上記記載部分は,POSの一般論に言及したもの,あるいは一つの実施例に言及したものではなく,本件発明について説明したものというべきである。
したがって,原告の上記各主張はいずれも採用することができない。
以上のとおり,本件ECサイトの制御方法は,構成要件F4,G及びHを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。 」(2016.1.22. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-01-22 12:16
| 特許裁判例
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