2016年 02月 16日
著作 平成27(ワ)9469号 催眠術DVD抱合せ販売事件 |
◆自社が販売した催眠術のDVDの複製品が、オークションサイト上で他人の商品のおまけとして抱き合わせ販売された件で、当該行為が名誉声望を害する方法での利用に係るみなし侵害(著§113⑥)に該当するかが問題となった事件。平成28年1月22日判決言渡。
「 原告Aは…被告の上記行為は著作権法113条6項の著作者人格権のみなし侵害行為に 当たる旨主張している。 ところで,同条項の「著作者の名誉又は声望」とは,著作者がその品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価,すなわち社会的名誉声望を指すものであって,人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価,すなわち名誉感情は含まれないものと解すべきである(最高裁判所昭和61年5月30日第二小法廷判決・民集40巻4号725頁参照)。 …(略)… …原告Aが,原告著作物を「オマケとして」「お付けします」などと記述されたことによって名誉感情を害されたことは理解できるとしても,上記記述を付して原告著作物の複製の頒布が一度申し出されたことによって,それを見た通常人が,原告著作物の内容が,上記第三者の発行したDVDに付加価値を与えるものであると考えることはあっても,原告著作物には価値がないと認識することが通常であるとまではいえないから,被告が,上記記述をしたことや,無断で原告著作物を複製,頒布をした行為が,原告Aの社会的評価を低下させる行為であるということはできない。そうすると,被告が,原告Aの名誉又は声望を害する方法により原告著作物を利用したと認めることできない。 したがって,被告の行為は,原告Aの著作者人格権のみなし侵害行為に当たらない」 (東京地裁40部 東海林裁判長)
◆控訴審判決 平成28(ネ)10021号(知財高裁3部鶴岡裁判長、平成28年6月9日)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/952/085952_hanrei.pdf
◆Memo ・著作者人格権のみなし侵害(§113⑥)。 ・謝罪広告、パロディモンタージュ事件。 (2016.2.16. 弁理士 鈴木学) (2016.6.15. 追記)
【著作者人格権、みなし侵害、著113条6項、「名誉又は声望」の解釈、謝罪広告、著115条、スーパーグラフィック】
by manabu16779
| 2016-02-16 21:24
| 著作権法
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