2016年 03月 03日
特許 平成27年(行ケ)10078号 眼鏡レンズ加工装置拒絶審決取消訴訟 |
◆ダブルスピンドル方式の引例からシングルスピンドル方式の本願発明に想到することが容易であったか否かが争点となった事件。容易想到でない、拒絶審決取消。
「 イ 動機付けについて (ア) 前記⑵アのとおり,引用発明は,複数の加工具回転軸を備え,複数の砥石によって眼鏡レンズを加工する装置を用いる従来の玉型加工の方法に,眼鏡レンズを回転させないという構成を採用したものである。 そして,前記⑵イのとおり,引用例には,加工具回転軸を1つとするシングルスピンドル方式についての記載はなく,示唆もされていない。加工具回転軸が複数あること自体に起因して何らかの問題が発生する,又は,加工具回転軸を1つとすることにより何らかの効果が期待できるなどといった,シングルスピンドル方式を採用する動機付けにつながり得ることも何ら示されていない。 (イ) 加えて,前記⑵イのとおり,ダブルスピンドル方式の眼鏡レンズ加工装置は,加工具回転軸を1つとするシングルスピンドル方式の眼鏡レンズ加工装置に比して,機械剛性が高く,加工時間も短いという利点を有するものと推認することができるのに対し,シングルスピンドル方式の眼鏡レンズ加工装置がダブルスピンドル方式の眼鏡レンズ加工装置に比して優位な点があることは,本件証拠上,認めるに足りない。 (ウ) したがって,当業者において,本願出願当時,引用発明に係る一対の加工具回転軸を備えたダブルスピンドル方式の眼鏡レンズの製造装置につき,あえて加工具回転軸を1つとするシングルスピンドル方式の構成を採用することについては,動機付けを欠き,容易に想到し得ないというべきである。 」
(知財高裁4部高部裁判長 審:×→裁:○) (2016.3.3. 弁理士 鈴木学)
【進歩性、動機付け、特許法29条2項、機械構造系】
by manabu16779
| 2016-03-03 19:27
| 特許裁判例
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