2016年 03月 09日
不競 平成25年(ワ)20534号 コンサルティング会社顧客情報事件 |
◆顧客情報使用の違法性が争われた事件。不競法に定める不正競争行為が存しない場合に不法行為が成立する場合があるか否か?
【顧客情報、秘密管理性、不正競争防止法、不法行為】
(不正競争行為でなくても共同不法行為には該当するとの原告主張に対して)
「 イ また,原告は,被告A及び被告Bは,原告会社の営業秘密である顧客情報を利用して,原告の顧客との契約を被告リブ社らとの契約に切り替えさせたものであり,また仮に不正競争行為に当たる事実が認められないとしても,被告らの行為は共同不法行為に当たる旨主張する。
しかし,前記のとおり原告の主張する顧客情報につき秘密管理性を認めることができないことのほか,被告らにおいて,原告の営業秘密に該当する事実を不正に取得,使用した事実を認めるに足る証拠はない。
また,不競法に定める不正競争行為が存しない場合に不法行為が成立する場合があるか否かに関しては,市場における競争は本来自由であるべきところ,一定の範囲の行為についてのみ不正競争行為としてこれを規制する不競法の趣旨に照らせば,同法において規制の対象とならない行為については,当該行為が自由競争の範囲を逸脱し,ことさら相手方に損害を与えることのみを目的として行われたなど,同法が規律の対象とする利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情が存在しない限り,一般不法行為を構成することはないというべきであるが,本件においては,本件全証拠を精査しても,上記特段の事情を認めることができないというべきである。 」
(東京地裁40部 東海林裁判長)
(2016.3.9. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-03-09 05:31
| 不正競争防止法
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