2016年 04月 06日
商標 平成27年(行ケ)10217号 小鯛ささ漬 団体商標事件 |
◆団体商標で出願した「小鯛ささ漬け」の識別力(商§3①3)が争点となった事件。識別力無し、拒絶審決維持。
【団体商標、商§7、識別力、拒絶理由、構成員による使用、3条2項の主張立証、若狭、名産品、商標法3条1項3号の該当性と3条2項との関係】
(商標法3条1項3号と3条2項について)
「…法3条1項3号は,自己の業務に係る商品について使用をする商標について,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状…,価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は,商標登録を受けることができないと定めているところ,同号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,①商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,②一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〔ワイキキ事件〕参照)。
一方,同条2項は,同条1項3号に該当する商標であっても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同号の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる旨を定めているところ,その趣旨は,一般的に商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であっても,特定の業務に係る商品又は役務について相当期間独占的な使用がされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至ったものについては,当該特定の業務に係る者に当該商標の独占使用を認めても公益に反するとはいえず,また,そのような商標は,自他商品識別力を獲得し,商標としての機能を果たし得るものであるから,出願人から使用の実績に基づく自他商品識別の事実について主張立証がされたときには,例外的に商標の登録を認めようとするものであると解される。 」
(商標法3条1項3号の該当性と3条2項との関係)
「(イ) 法3条の上記各趣旨に鑑みると,同条1項3号該当性は,当該商標の構成自体が,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述するものであるかどうかによって判断され,使用された結果,実際には出所表示機能や自他商品識別力を有する場合であっても,特性を表示記述する標章に該当する限り,同号該当性自体が否定されるものではない。そして,本願商標は,上記1(1)オのとおりの意味合いを有する複合語として理解されるものであるところ,本願商標が,原告の構成員が実質的に製造,販売を独占している商品の商標として使用された結果,取引者,需要者によって実際に原告又は原告の構成員を出所として示すものとして認識されており,出所表示機能や自他商品識別機能を有するとしても,そのことは,法3条2項該当性において問題とされるべき事項であるというべきである。 」
(知財高裁1部設樂裁判長)
(2016.4.6. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-04-06 12:35
| 商標
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