2016年 04月 20日
特許 平成25年(ワ)29520号 VPNシステム特許権侵害訴訟事件 |
◆NTTコミュニケーションのVPNシステムが原告の特許権を侵害するかが争点となった事件。非侵害。
【技術的範囲、特§70、不当利得返還請求、VPN、ルーティング、アドレス、パケット、プロバイダ、補助参加人】
「…以上の本件明細書1の記載によれば,「ICSネットワークアドレス」とは,コンピュータ情報/通信アドレスとして独自に定めたアドレスの付与規則を持つICS(統合情報通信システム)において,これを構成するアクセス制御装置,アクセス制御装置とユーザ物理通信回線との接続点であるICS論理端子,中継装置,VAN間ゲートウェイ及びICS網サーバ等に付与される,それぞれICS内部で唯一の識別符号を指すものであり,かつ,このうち,ICS論理端子に付されるアドレスは,ICSネットワークフレームを構成するネットワーク制御部に格納され,同アドレスが直接参照されることにより,ICSネットワークフレームがICS網内を転送されるものを意味すると認められる。
エ しかるところ,被告システムにおける「ラベル」,すなわち網内転送ラベル(outerラベル)及びVPN識別ラベル(innerラベル)の各値は,各事業所に設置されているCEルータが,自身が接続しているVPNサイト内部のルート情報を接続しているPEルータに配信し,これを受信したPEルータにおいて,当該VPNに属する他の事業所を接続するPEルータやPルータに配信することを繰り返すことにより,特定のホストアドレスを有するVPN内部のユーザへ情報を配信する場合に通過する経路を各々のPEルータ及びPルータが蓄積した結果決定された情報であって,被告システムにおいて「ICS論理端子」に該当しうる「PE-CEインターフェイス」に網内で唯一付された識別子であるとは認められない。…(略)…
カ したがって,被告システムは,「ICSネットワークアドレス」を有しないから,構成要件1-1A,同1-1B及び同1-2Aをいずれも充足しない。 」
(東京地裁29部嶋末裁判長)
(2016.4.20. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-04-20 12:35
| 特許裁判例
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