2016年 06月 01日
不競 平成26年(ワ)9920号 産業機械顧客情報事件 |
◆装置の納入先情報などを含む顧客情報を使用していたことにつき営業秘密侵害が問題となった件。営業秘密要件を充足せず非侵害。
【営業秘密、不正競争防止法2条1項7号、2条6項、秘密管理性、顧客情報】
(営業秘密該当性)
「(1) 争点(2)ア(営業秘密該当性)について
ア 秘密管理性の有無
不競法上の営業秘密に該当するためには,不競法2条6項にいう「秘密として管理されている」ことが必要であり,このようにいえるためには,
当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることが認識できるようにしていることや,当該情報にアクセスできる者が限定されていることなど,当該情報に接した者が,これが秘密として管理されていることを認識し得る程度に秘密として管理している実体があったといえることが必要というべきである。
これを本件について検討するに,証拠(乙45の1,証人乙ⅱ,証人乙ⅳ,証人甲ⅰ前代表,原告代表者)によれば,本件指示書等には「部外秘」「秘密」などの秘密情報が記載されていることを示す印字や押印がされていなかったこと,原告は,本件指示書等をファクシミリで被告に送信していたが,被告が本件指示書等の受信に用いたファクシミリは,原告との取引に関与する産業機械の部署のみならず,流体機械部門やバルブを担当する部署も共通して使用しており,原告から本件指示書等を受領する担当者以外の被告従業員も,本件指示書等を容易に見ることができたこと及び原告は上記ファクシミリの設置状況を認識していたことが認められる。これらを総合すると,本件指示書等に記載された顧客情報に接した者が,これが秘密として管理されていることを認識し得る程度に秘密として管理している実体があったとは認められず,したがって,本件指示書等に記載された原告顧客情報について,秘密管理性があったということはできない。 」
モトロニクスvs.森川産業
(東京地裁40部東海林裁判長、平成28年4月27日)
(2016.6.1. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-06-01 12:16
| 不正競争防止法
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