2016年 08月 01日
特許 平成27年(行ケ)10185号 タッチパネルシステム事件(無効審判控訴審) |
◆訂正請求書の補正につき「要旨の変更」に該当するか否か等が争点となった事件。要旨の変更に該当する。
【審判請求書、要旨の変更、特許法131条の2第1項、減縮的な変更であれば要旨の変更にあたらない?、審理対象の変動、審理遅延防止】
(要旨変更にあたるか?)
「 2 取消事由1(本件補正の可否に関する判断の誤り)について
…補正前構成(訂正後構成)において,制御手段が情報処理装置に行わせる所定の動作の選択を,次の …のいずれかに応じてするとしていたものを①’③’のいずれかとする補正後構成に補正するものである。
そうすると,補正後構成は,所定の動作が何に応じて選択されるか,及び,所定の動作の選択候補を変更するものであり,審理対象が実質的に変更されているものであるから,訂正請求書の趣旨の要旨を変更するものであり,特許法134条の2第9項で準用する同法131条の2第1項規定に違反するものである。
(2) 原告の主張について
原告は,本件補正は,「指示部位の数の過渡的な変化」との訂正を含む本件訂正に係る各訂正事項につき,これを,「指示部位の数の過渡的な変化」を除く訂正にとどめるとする趣旨のものであって,減縮的変更に該当するから要旨の変更には該当しないと主張する。
しかしながら,特許法131条の2第1項は,審理遅延を防止するために,審理対象の変動を禁止したものであるところ,補正前構成(訂正後構成)は,その全体が一体として,制御手段が情報処理装置にさせる所定動作の選択のための条件を規定するものであるから,これを規定する発明特定事項の要素が補正後構成において減少していても,補正前構成(訂正後構成)の全体が変更されていることにほかならない。そうすると,審理対象は変動しており,本件補正は,要旨の変更に該当する。
原告の上記主張は,採用することができない。
(3) 小括
以上のとおり,本件補正を却下した審決の判断には,誤りはなく,取消事由1は,理由がない。 」
シロク、Apple
(知財高裁2部清水裁判長、平成28年7月20日)
◆Memo:
・特許法131条の2第1項の趣旨…審理遅延を防止するために審理対象の変動を禁止。
(2017.8.1. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-08-01 12:34
| 特許裁判例
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