2016年 09月 05日
特許 平成26年(ワ)21436号 治療用マーカ事件 |
◆放射線治療の目印に用いられるマーカに関し特許権侵害が問題となった件。技術的範囲に属する、侵害。
【特70条、文言侵害、技術的範囲、裏側、広辞苑】
「(3) 構成要件B(「裏面に」「透明な保護シート層」)の充足性について
ア 「裏面に」につき
被告は,「裏面に」とは「裏面に直接」を意味するものであり,被告各製品は,台紙の裏面に直接積層されているのはデンプンのり層であって,剥離可能な保護シート層ではないから構成要件Bを充足しないと主張する。
しかし,被告が指摘する本件明細書等の記載部分をみると,「基台紙5の裏面には水溶性の糊がコーティングされている。」との記載も存在しており,基台紙と保護シート層の間に水溶性の糊によるコーティング,すなわち介在層が存在する実施例が記載されている。そもそも,本件明細書等には,保護シート層が接着能を有することを示唆する記載はないところ,接着能を有しない保護シートを台紙に接着させるために糊などの接着層の介在を要することは明らかであるから,本件発明は,少なくとも台紙と保護シートの間にデンプンのり層を含む接着能を有する層の介在を前提とし
ているというべきである。そして,広辞苑(第6版)によれば,「裏面」とは「うらがわの面」を意味するものであって,「裏面に直接に」ということまでを意味するものではなく,また,本件明細書等のその余の記載をみても,「裏面に直接に」と限定的に解するべきであることを示唆する記載はない。
したがって,構成要件Bの「裏面に」とは,台紙の片方の面を表面(表側の面)とした場合の反対側の面を指して,「裏側に」あるという位置関係を示すものであると認めるのが相当であり,「裏面に直接」の意味であると限定的に解することはできない。 そうすると,仮に被告が主張するように,被告各製品の台紙の裏面に直接積層されているのはデンプンのり層であったとしても,被告各製品は構成要件Bの「裏面に」を充足すると認めるのが相当である。 」
中部メディカル、ヤスイペイント、 東京オリジナルカラーセンター
(東京地裁40部 東海林裁判長)
(2016.8.5. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-09-05 19:25
| 特許裁判例
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