2016年 09月 23日
特許 平成26年(ワ)10489号 螺旋ハンガー用クランプ侵害訴訟事件 |
◆電線等を挟持する器具の特許権侵害が問題となった事件。侵害する、損害額約78万円。
【技術的範囲、文言侵害、一端、一側、開口、解釈、実施形態に限定されない、「端」とは一定の広がりを有するものがorもっと狭いヘリや縁か?】
(構成要件Gの充足性)
「 (8) 構成要件Gについて
ア 原告は,イ号物件の下固定金具の係合部側の形状を構成gのとおり主張して,これが構成要件Gを充足する旨主張するところ,イ号物件の上固定金具が本件発明の「第1プレート」に,下固定金具が「第2プレート」に該当することは上記(3)のとおりであるが,被告は,その特定の表現を争うとともに,構成要件Gにいう「他端に一側が開口する」との構成の解釈を争っている。
イ そこで,まず「他端に一側が開口する」との解釈について検討する。
(ア) まず「他端」も用いる「端」とは,その用語の普通の意味において,「①物の末の部分,先端。②中心から遠い,外に近いところ。へり。ふち。」(広辞苑第6版)などとされ,本件発明の構成要件Dにおいてもボルトを挿通させる部分を「一端」としていること等からすれば,「他端」とは,プレートの一端の反対側の先端に近い部分をいい,端外側の線や点をいうものではないと解される。したがって,「他端の一側が開口する」とは,そのような先端に近い部分の一つの側に開口された場所を備えていることをいうものと解するのが相当である。
(イ) これに対し,被告は,「他端」の「一側」が開口するとは,他端の端が開口していることをいい,また,開口した切欠部の先端が切欠部側に曲がっていないものである旨主張し,本件明細書の図や実施形態を指摘する。しかし,本件発明が本件明細書における図や実施形態に限定されるものではないから,切欠部の位置が被告主張の箇所に限定されるものではなく,被告のいう第1屈折部分がある形態が除かれているということもいえず,被告の上記主張は採用できない。
ウ イ号物件においては,その構成の特定の表現に争いがあるものの,上固定金具が本件発明の「第1プレート」に,下固定金具が「第2プレート」に該当することは上記(3)のとおりであり,下固定金具の他端近傍の一方の側部に凹部を設けて逆C字形にし,その先端に下固定金具の一端側へ略90度屈折させた屈折部分を形成しているが,C字型の凹部を形成している構成を有していることは明らかであるから,これらは「他端に一側が開口するように形成した切欠部」に該当するものといえ,したがって,イ号物件の構成gは構成要件Gを充足するものといえる。 」
電研社、ヒエン電工
(大阪地裁21部森崎裁判長)
(2016.9.23. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-09-23 18:51
| 特許裁判例
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