2016年 11月 16日
特許 平成27年(行ケ)10175号 照明装置事件 |
【進歩性、容易想到性、動機付け、阻害要因、機能しなくなるような改変、技術的思想に反する変更、無効審判、審決取消訴訟、訂正】
「(3) 取消事由1-1(相違点2に係る容易想到性の判断の誤り)について
ア 相違点2に係る容易想到性の判断について
前記認定事実(2)によれば,甲1発明は,LEDを光源とする照明器具においては,LED自体の輝度が高いためグローブに輝度ムラが生ずるという課題を解決し,輝度ムラを低減して器具効率を向上させる照明器具を提供するものである。すなわち,甲1発明は,上記課題を解決するために,器具本体の外縁部に配設されるLEDと,LEDの光出射方向に対向して配置され,LEDの光を主として平行方向に制御するレンズ体と,LEDに対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と,LED及び反射体を覆い外縁部から中央部方向に透過率が高くなるようにしたグローブとを具備する構成を採用し,輝度ムラ対策の必要な部分のみグローブの拡散性を上げるとともに,必要のない部分の透過率を上げて,全体として輝度ムラを低減し,かつ,器具効率を向上させるものである。
そうすると,甲1発明においては,輝度ムラを低減させるために,LEDを器具本体の前面に向けて配置せず,LEDを実装した面を中央に向けてその光の出射方向を器具本体の中央部にすることは,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると認めるのが相当である。したがって,甲1発明においては,LEDを器具本体の前面に向けて配置するという相違点2の構成を採用することは,上記特徴的部分を欠くことになり,甲1発明の技術的思想に反することになるから,当業者が上記構成を適用する動機付けを認めることはできない。
以上によれば,当業者が相違点2に係る構成を容易に想到することはできないとした審決の判断に誤りはない。 」
シャープ株式会社
(知財高裁1部設樂判事)
(2016.11.16. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-11-16 12:38
| 特許裁判例
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