2016年 12月 27日
著作 平成28年(ワ)11697号 講演会ライブ配信事件 |
◆講演会の参加者がツイキャス上で無断でライブ配信を行った件で、著作権侵害が問題となった事件。公衆送信権侵害、損害賠償。
【講演会、宗教関連、言語著作物、口述、インターネット、ライブ配信、コメント、ラスボス登場、公表権(18条)、未公表、時事の事件の報道(41条)、謝罪広告、名誉声望】
(公表権侵害?)
「 本件講演は原告らそれぞれの思想を言語により表現したものであり,各原告の発言部分ごとに言語の著作物に該当するところ(甲8~10の各1及び2参照),前記前提となる事実 によれば,本件講演会は,定員86名の会場で行われ,対象者が限定されておらず,事前に申込みをすれば誰でも参加することができるものであったというのである。そうすると,本件講演は,不特定又は多数の者に対して行われたものであって,原告らの口述により公衆に提示され,公表されたと認められる。
この点につき,原告らは,本件配信はライブ配信であり,本件講演が原告らによる口述と同時に配信されるため,本件配信の時点では本件講演は未公表であった旨主張する。しかし,本件配信は原告らが公に口述するのに先立って本件講演を配信するものではなく,原告らによる口述を前提として,これをそのまま配信するものであるから,本件配信は原告らが公表した著作物についてされたものというほかない。
したがって,本件配信による公表権侵害は成立しない。 」
(公衆送信権、時事報道)
「 2 (本件配信の「時事の事件の報道」該当性)について
被告は言語の著作物である本件講演をインターネット上の配信サイトで配信したものであるから,被告の行為は本件講演に係る各原告の公衆送信権を侵害する行為に該当する。
これに対し,被告は,本件配信は「時事の事件の報道」(著作権法41条)に該当するため原告らの著作権が制限され,公衆送信権侵害は成立しない旨主張する。そこで検討すると,まず,この点に関する被告の前記主張を前提としても,本件講演それ自体が同条にいう「時事の事件」に当たるとみることは困難である。これに加え,同条は,時事の事件を報道する場合には,当該事件を構成する著作物等を「報道の目的上正当な範囲内」において「当該事件の報道に伴って利用する」限りにおいて,当該著作物についての著作権を制限する旨の規定である。本件配信は,約3時間にわたり本件講演の全部を,本件コメントを付して配信するものであるから,同条により許される著作物の利用に当たらないことは明らかである。
したがって,本件配信は上記公衆送信権を侵害するものと認められる。」
(東京地裁46部長谷川裁判長、平成28年12月15日)
(2016.12.27. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-12-27 21:19
| 著作権法
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