2017年 01月 11日
商標 平成28年(行ケ)10145号 くれないケアセンター事件 |
◆「くれないケアセンター」と「くれない」との類似性が問題となった事件。類似。
【結合商標、分離抽出、4条1項11号、識別標識、強く支配的】
(一部抽出の可否)
「 (2) これを本件についてみるに,本件商標の「ケアセンター」という構成部分は,少なくとも本件指定役務との関係においては介護の提供場所を一般的に表示するものにすぎず,当該構成部分から役務の出所識別標識としての称呼,観念は生じないというべきである。他方,「くれない」という構成部分は,そもそも「ケアセンター」という構成部分と用語として関連するものではなく,「くれない」という用語は,本件指定役務の内容等を具体的に表すものではないから,本件指定役務との関係では,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。そうすると,本件商標のうち「くれない」という構成部分を抽出し,当該構成部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。 」
(類否判断)
「 2 本件商標の「くれない」と引用商標の「くれない」の類否判断
(1) 商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最三小判昭和43年2月27日民集22巻2号399頁参照)。
(2) 本件商標の構成部分である「くれない」と引用商標の「くれない」は,その外観,観念及び称呼がいずれも同一であり,介護に係るサービス等において使用されるという実情を踏まえても,上記にいう「くれない」と引用商標の「くれない」が本件指定役務に使用された場合に,役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 」
Tondo、社会福祉法人めぐむ福祉会
(知財高裁1部設樂判事、平成28年12月22日)
(2017.1.11. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-01-11 12:38
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