2017年 01月 19日
商標 平成27年(ワ)5578号 ZOLLANVARI絨毯事件 |
◆ペルシャ絨毯に使用される商標につき並行輸入の抗弁が認められた事件。
【商標権侵害、ゾランヴァリ、真正品、並行輸入、BBS、実質的違法性、出所表示機能、品質保証機能、タグ】
(並行輸入)
「…被告は,原告商標権は,原告がゾ社からゾ社の標章を原告名義で登録する権限を与えられて取得した権利であり,原告とゾ社は同視し得る関係にあるところ,被告は,ゾ社から原告商品と同じ品質の商品を輸入し販売しているのであり,一部商品に付された被告標章1が記載された被告タグはゾ社が付したものであり,また被告標章1ないし同3も,ゾ社から購入した製品に関し,当該商品の出所識別表示として,被告ウェブサイトの被告商品を説明する部分に表示して使用しているだけであるから,被告標章使用行為は,真正品の並行輸入として商標権侵害の実質的違法性を欠くと主張する。
…そして,被告タグはゾ社が付したものであるかについて検討すると,証拠上確認できる被告タグ(乙25の写真番号21中の3枚,甲5,乙11の1,乙12の1の各1枚)に記載された商品番号は,本件取引1ないし同6に係るパッキングリストに記載された商品番号に由来するものであることが認められるし(…略…),被告タグは原告が真正品の証明であるとする原告タグとは異なるものである上,被告商品の一部にしか付されていないというのであるから,被告がこれを自らの判断で積極的に付したとも認め難く,後記検討するゾ社代表者の本件における報告内容が信用できないことも併せ考えると,被告タグは,被告が主張するようにゾ社によって付されたものと認められる。 …略…
(5) また被告がゾ社の製品として取り扱う被告商品が,原告が真正品であるとする原告商品と品質の点で異なるものであるか検討するに,上記認定のとおり,被告商品は全てゾ社の製品であると認められるのであるから,原告商品と被告商品との間に品質の点で異なる点はないはずのものということができる。 …略…
(6) 以上総合すると,被告商品は,全てゾ社の製品であってゾ社が関与して日本国内に輸入されているものであること,そのうち被告標章1が記載された被告タグはゾ社によって付されたものであること,その商品の品質はゾ社の総代理店である原告が取り扱う原告商品と異なるところはないと認められる。 そして原告は,ゾ社の日本における総代理店であり,ゾ社の権限授与を受けて原告商標の登録を得ることができたにすぎないものであって,原告とゾ社を同視でき,原告商標と被告標章1が同一の出所を表示するものといえることを併せ考えると,被告標章1が付された被告商品を販売する行為は,商標の持つ出所表示機能及び品質保証機能を何ら害するところがないし,商標の使用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なうことはないということができるから,外形的に商標権侵害行為に該当するとしても,実質的違法性を欠くということができる。 」
株式会社絨毯ギャラリー 、オリエンタルアート
(大阪地裁21部森崎裁判長、平成28年12月15日)
(2017.1.19. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-01-19 23:34
| 商標
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