2017年 07月 20日
商標 平成28年(行ケ)10252号 AKA事件(識別力、品質誤認) |
◆「AKA」が関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach)の略語であって指定役務との関係での識別力等が問題となった事件。
【3条1項3号、4条1項16号、無効審判、審決取消訴訟、第44類医業医療情報の提供、類似群コード共通の範囲まで無効とされるべきか?】
(3条1項3号、4条1項16号)
「1 証拠(甲3~6,11~15,17,19,20,26)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標の登録査定時において,「AKA」の文字は,「関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach)」の略であって,関節の機能の治療を行う場合がある整形外科等の役務との関係においては,「関節運動学を基礎にして開発された治療法,治療技術」を表すものとして理解,認識されていたと認められる。
そうすると,かかる文字を標準文字で表して成る本件商標は,その指定役務中,第44類「医業,医療情報の提供」との関係においては,単にその役務の質(内容)を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであり,また,上記以外の治療法によるものについて使用をするときは,役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがある認められるから,本件商標は,上記指定役務については,法3条1項3号及び4条1項16号に該当する。
以上の点は,本件審決が認定するとおりであり,原告はもちろん,被告もこの点を争うものではない。
2 これに対し,本件指定役務中,その余の指定役務,すなわち,「健康診断,歯科医業,調剤,あん摩・マッサージ及び指圧,整体,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」との関係においては,上記の各証拠によっても,本件商標が,各役務の普通名称(取引界における役務の一般的名称)であるとか,各役務の質(内容)を表すものであるとは認められず,ほかにそのように認めるに足りる的確な証拠はない。したがって,本件商標は,その余の指定役務との関係では,自他役務識別力がないとはいえず,また,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるということもできない。
よって,本件商標は,その余の指定役務については,法3条1項1号,3号,6号,4条1項16号のいずれにも該当しないというべきであり,この点において,本件審決の認定判断に誤りがあるとは認められない。 」
(知財高裁3部鶴岡判事、平成29年6月29日)
◆関連案件:
平成28年(行ケ)10253号、平成29年6月29日
「…第41類「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」との関係においては,単にその役務の質(内容)を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであり,また,上記治療法,治療技術以外を内容とするものについて使用をするときは,役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあると認められるから,本件商標は,上記指定役務については,法3条1項3号及び4条1項16号に該当する。 」
(2017.7.20. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-07-20 12:42
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