2017年 10月 12日
商標 平成28年(行ケ)10266号 トランプ繰り出し装置事件(立体商標) |
◆カジノで使用されるトランプ繰り出し装置の立体的形状が立体商標として保護されるか(3条1項3号)が争点となった事件。識別力なし、保護されず。
【立体的形状、3条1項3号、識別力、立体商標、3条2項、外国での使用、通常採用されている形状の範囲、効果発揮目的形状と予測しうる範囲内、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
(商標法3条1項3号該当性 )
「 前記 によれば,本願商標の形状と一般的なカードシューの形状とは,横長の箱状であり,上面をなだらかに傾斜させるとともに,前面を傾斜させ,半円状の開口部が設けられているという点において共通するものであり,その共通する形状は,トランプを格納して,上から一枚ずつ取り出せるカード容器の基本的な形状であって,トランプ繰り出し装置という機能を効果的に発揮させるために通常採用されている形状であることが認められる。
そして,本願商標の立体的形状は,全体として曲線を輪郭として用いていることなど,一定の特徴的形態を有するものであるけれども,このような曲線を輪郭とするカードシューは,他にも存在するのであって(乙4,11),通常採用されている形状の範囲を超えるものとまでは認められず,本願商標に接した需要者が,商品の美感に資することを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであると認められる。
また,本願指定商品は,「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなる」ものであるところ,前記認定のとおり,ランプやボタン等は,電子的にトランプカードを識別認識してゲームの結果を表示する,又は電子機器を制御するために設けられたものであると認められる。このような電子的な機能を有する商品には,その機能を発揮させるために,ランプやボタン,スイッチ等を搭載することが通例であるといえ,本願商標のランプやボタン,スイッチ等の特徴的形態については,本願商標に接した需要者が,商品の機能を効果的に発揮させることを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであると認められる。
以上によれば,本願商標の立体的形状は,客観的に見れば,機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められ,また,需要者において,機能又は美感に資することを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであるから,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当するものと認められる。 」
エンゼルプレイングカード
(知財高裁1部清水判事、2017年9月27日)
(2017.10.12. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-10-12 18:49
| 商標
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