2017年 10月 25日
商標 平成29年(行ケ)10094号 豊岡柳事件(4条1項15号) |
◆「豊岡柳」が「豊岡杞柳細工」との関係で4条1項15号に該当するかが争点となった事件。審決:該当しない→知財高裁:該当する。
【出所混同、4条1項15号、無効審判、審決取消訴訟、出所誤認、フリーライド、ダイリューション】
(4条1項15号 -規範-)
「 ⑴ 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに,当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして,上記の「混同を生じるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。」
(あてはめ)
「…⑸ 小括
以上のとおり,①本件商標は,外観や称呼において引用商標と相違するものの,本件商標からは,豊岡市で生産された柳細工を施した製品という観念も生じ得るものであり,かかる観念は,引用商標の観念と類似すること,②引用商標の表示は,独創性が高いとはいえないものの,引用商標を付した原告商品は,原告の業務を示すものとして周知性を有しており,伝統的工芸品の指定を受け,引用商標が地域団体商標として登録されていること,③本件商標の指定商品は,原告商品と同一又は密接な関連性を有するもので,原告商品と取引者及び需要者が共通することその他被告の本件商標の使用態様及び需要者の注意力等を総合的に考慮すれば,本件商標を指定商品に使用した場合は,これに接した取引者及び需要者に対し,原告の業務に係る「豊岡杞柳細工」の表示を連想させて,当該商品が原告の構成員又は原告との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され,商品の出所につき誤認を生じさせるとともに,地域団体商標を取得し通商産業大臣から伝統的工芸品に指定された原告の表示の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねない。 そうすると,本件商標は,商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たると解するのが相当である。」
兵庫県杞柳製品協同組合
(知財高裁4部高部判事、平成29年10月24日)
(2017.10.25. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-10-25 12:32
| 商標
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