2017年 12月 19日
特許 平成29年(行ケ)10044号 微小藻類培養方法事件(進歩性) |
◆微小藻類に弱い光を当てて培養する発明の進歩性が問題となった事件。進歩性無し。
【特許法29条2項、数値限定発明、有利な効果、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
(容易想到性)
「ア(ア) 前記(1)及び(2)のとおり,本件審決には,本願発明18の要旨の認定及び引用発明の認定のいずれにおいても誤りはない。
そうすると,本願発明18と引用発明の相違点は,本願発明18は「前記微小藻類への5µmol 光子 m -2 s -1 以下の低放射照度光の適用」を含むのに対し,引用発明は「弱い光(5µmol m -2 s -1 )もまた採用すること」を含み,5µmol 光子 m -2 s -1 以下という特定を有しない点,ということになる。この点において,本件審決に誤りはない。
(イ) 相違点の容易想到性
本願発明18における低放射照度光については,「5µmol 光子 m -2 s -1以下」という数値範囲が設定されているところ,その一部は引用発明の「弱い光(5µmol 光子 m -2 s -1 )」と一致している。
そして,引用発明の「弱い光」である5µmol 光子 m -2 s -1 を更にわずかに弱くすることは,当業者が最適範囲を探索することを通じて容易に到達し得ることというほかない。
また,本願発明18の作用効果についても,引用例1の記載から認められる引用発明の作用効果との対比において,格別顕著な効果を奏しているとは認められない。
したがって,本願発明18は,引用発明に基づき当業者が容易に想到し得たものというべきであり,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。 」
フィコイル バイオテクノロジー インターナショナル
(知財高裁3部鶴岡判事、平成29年12月13日)
(2017.12.19. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-12-19 18:12
| 特許裁判例
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