2017年 07月 31日
特許 平成28年(ワ)21346号 外国為替取引システム侵害訴訟事件(その2) |
◆外為オンラインの為替取引システムが原告特許権を侵害するかが争点となった事件。文言侵害不成立。
【特許5941237、FX取引、「iサイクル注文」、サーバー差止め、特許侵害訴訟、技術的範囲、特§70、文言侵害】
(構成要件の充足)
「そこで,このことを前提として検討すると,被告サービスにおいては,上記のとおり,上記②の時点の直後に高値側に買いの成行注文及び売りの指値注文(上記④の各注文)の注文情報が生成,発注された。
もっとも,上記④の各注文のうち,売り注文は指値注文であるが買い注文は成行注文であるところ,前記⑵のとおり構成要件Eの「注文情報」は指値注文に係る注文情報をいい,成行注文に係る注文情報を含まないと解される。そうすると,④の買い注文に係る注文情報は,構成要件Eの新たな「第一注文情報」に該当しないというべきである。
他方,上記⑥の注文はいずれも指値注文であり,これらの注文に係る注文情報は構成要件Eの「第一注文情報」及び「第二注文情報」に該当し得るものといえる。しかし,⑥の各注文は,②の時点の直後に③の各注文がされた後,③の成行の買い注文の約定価格よりも高値側に価格が変動し,③の売りの指値注文が約定した⑤の時点の後にされるものである。そうすると,⑥の各注文に係る注文情報は,「検出された前記相場価格の高値側への変動幅が予め設定された値以上となった」時点である②の時点において,成就の有無が判断できる他の条件の付加なく,また,直ちに生成されたものということはできない。別表1の取引においても,⑥の注文は,②の時点から約35時間50分後にされ,また,その間に⑤の売りの指値注文の約定等がされた後にされている。
そうすると,「検出された前記相場価格の高値側への変動幅が予め設定された値以上となった場合」に,上記⑥の注文に係る「第一注文情報」及び「第二注文情報」が「設定」されたということはできない。
ウ 以上によれば,被告サービスは構成要件Eの「検出された前記相場価格の高値側への変動幅が予め設定された値以上となった場合,・・・高値側に・・・新たな前記第一注文情報と・・・新たな前記第二注文情報とを設定」を充足しない。」
マネースクウェア、外為オンライン
(東京地裁46部柴田裁判長、平成29年7月20日)
◆関連裁判例:
(2017.7.31. 弁理士 鈴木学)
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by manabu16779
| 2017-07-31 20:15
| 特許裁判例
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