2015年 11月 04日
特許 平成25年(ワ)第10039号 特許権侵害差止等請求事件 |
◆鮮魚青果物等の樹脂容器の特許権の侵害訴訟での§104の3の抗弁→認められず。
(本願発明が着目した特有の課題は?)
【進歩性、§29②、設計的事項、動機付け】
◆メモ ・幾つかの特徴部があるとき、個々は一見それぞれ設定的事項に見えても、それらの組合せにより初めて特定の課題が解決される場合もある。 (2015.11.15. 弁理士 鈴木学)
「 被告は,上記相違点1について,乙1考案において,容器の材質を発泡合成樹脂とすることは,乙2文献及び乙3文献に示されているとおり設計事項であり,上記相違点2についても,凸部の位置をどこにするかは設計事項であるから,いずれの相違点についても乙1文献のみから容易に想到可能であると主張する。
しかし,本件発明1,2は,合成発泡樹脂容器において,容器を多段に積み重ねたときに最下段等の容器に大きな積載荷重がかかり,容器の側壁が外側に膨出して変形し,クラックや割れが生じるという課題を解決することを目的としているところ,この課題は,容器の材質が撓みやすい合成発泡樹脂である場合に特有のものである。そして,本件発明1,2は,そのような課題が生じる場合に,接地する荷重受け底面延長部を,荷重負荷時に変形しやすい対向する(長辺側)2辺の中央部又は中央部近傍に設けることにより,解決したものである。このことからすると,上記相違点1及び相違点2に係る本件発明1,2の構成は,両者があいまって一体として本件発明1,2の課題解決と作用効果を基礎づけているものであるといえる。他方,乙1文献にはこのような発泡合成樹脂容器に特有の課題を示唆する記載はなく,また,乙1考案の凸部について,容器側壁の変形を緩和するとの作用を示唆する記載もない。そうすると,仮に乙1考案において,容器の材質を内容物等に応じて適宜選択すること(乙2,乙3),及び凸部の位置を搬送時の滑り落ち防止の観点から適宜の位置にすること自体は,それぞれが設計事項であるとしても,容器の材質が特定されておらず,凸部の作用効果として搬送時の滑り落ち防止が記載されているにすぎない乙1文献に基づき,多数の可能性の中からそれらを一体として組み合わせて,特段の技術的課題を解決する本件発明1,2に至ることの動機付けがあるとはいえない。したがって,相違点1及び相違点2が乙1文献から容易に想到し得たということはできない。 」
by manabu16779
| 2015-11-04 13:50
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