2015年 11月 27日
特許 平成26年(行ケ)第10228号 審決取消請求事件(当事者系) |
◆ビスマスクラスターイオンを固体試料に照射する質量分析器の進歩性が争われた事件。
【無効審判、進歩性、阻害要因、動機付け、作用効果の共通性、同一技術分野論】
「エ 原告は,甲1文献の目的と甲2文献の目的は異なるため,当業者が,甲1文
献と甲2文献に開示された内容を組み合わせる動機付けはない,すなわち,甲1文
献に接した当業者が甲2文献に接したとしても,まず,甲1文献から,Biイオン
を実際の飛行時間型二次イオン質量分析器に適用することを想定し,さらに,甲2
文献に開示された「Biクラスターイオンの比率の値がGa,In,Sn,Au及
びPbに比べて高い」,「同様のイオン源においては,Auイオンに比べてBiイオ
ンの方がクラスターイオンが含まれる割合が大きい」という技術的事項に着目する
ことは,非常に困難である旨主張する。
しかし,甲1文献と甲2文献の目的が異なっていることのみをもって直ちに両文
献に開示された技術内容を組み合わせる動機付けがないということはできない。ま
た,甲1文献及び甲2文献に開示された内容は,いずれも液体金属イオン源を用い
る技術分野に関するものであって,密接な関連性を有するものといえるし,甲1文
献と甲2文献に開示された実験結果を組み合わせることについての阻害要因になる
ような特段の事情も認められない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。 」(一部抜粋)
・引例の目的が異なっていることは動機付け不存在の理由となりにくい。
・本件では他にも阻害要因等について原告は幾つか主張していた。
(2015.11.27. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2015-11-27 13:57
| 特許裁判例
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