2015年 12月 14日
特許 平成27年(行ケ)第10059号(農産物の選別装置事件、進歩性) |
◆課題自体は自明でも本件解決手段までは容易想到でないと判断された事件。
【進歩性、動機付け、課題&課題解決手段、同一技術分野】
(近江度量衡vs.シブヤ精機 無効審判控訴審)
「 そして,前記3(1)イ(エ)のとおり,引用発明1において,第1段階の排出を行う排出装置6a,6bに動作不良,故障等があった場合には,その後の受皿の流れの態様が,本件発明1の「オーバーフロー」の状態になる可能性があるものの,引用例1には,その後どのように当該受皿が取り扱われるのかといった対処手段に関する記載は全くなく,少なくとも「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」構成は記載されていない。
さらに,本件発明の従来技術として,「従来は,各仕分ライン毎のプール部は大きく設けずに,選別コンベアの終端に,仕分ラインに排出できなかった受皿を一括して受け入れるプール部を設けて,オーバーフローした受皿の農産物は手作業で包装することが行われている場合が多い。」(【0012】)と記載されていることからすれば,従来は,プール部を設けてオーバーフローの対処を行う場合が多いことが把握できるから,仮に搬送コンベアから仕分コンベアに排出されずに搬送コンベアの最終部まで搬送された青果物の取り扱いに労力を要するという課題自体が自明であったとしても,当該課題の解決に引用発明1の「リターン手段」の技術を用いることを容易に想到し得たとすることはできない。 」
〔知財高裁第4部高部審判長、審決:進歩性○→高裁:進歩性○〕
◆Memo:
・引用文献では生じない課題&それに対する課題解決手段?
・新しい課題の提供?or課題自体は自明でも本件解決手段までは非容易想到?
・控訴人は技術分野関連性(同一技術分野)を主張したが、組合せの動機付けは否定。
(2015.12.14. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2015-12-14 18:45
| 特許裁判例
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