2015年 11月 20日
特許 【ちょっと昔】 平成17年(ネ)10040 一太郎事件 (特にソフトウェア関連の進歩性判断の部分について) |
◆一太郎事件での進歩性判断について(GUIに関連した進歩性判断、平成17年9月30日)
→ 「アイコン」又は「メニューアイテム」のいずれを採用するかは当業者が適宜選択できる技術的な設計事項。
【進歩性、特許法29条2項、ソフトウェア】
「前記1において引用に係る原判決が争点1(構成要件充足性)について認定したとおり,本件特許出願当時,所定の情報処理機能を実行するための手段として「アイコン」は周知の技術事項であり,また,証拠(乙13文献,乙18文献)によれば,同様の手段として「メニューアイテム」も周知の技術事項であったことが認められる。そうであれば,所定の情報処理機能を実行するための手段として,「アイコン」又は「メニューアイテム」のいずれを採用するかは,必要により当業者が適宜選択することのできる技術的な設計事項であるというべきである。
現に,アイコンの機能説明を表示させる機能を実行するための手段についてみても,本件特許出願前の1988年(昭和63年)7月に頒布された乙12文献(「ハイパープログラマーのためのハイパーツール」)には,「ハイパーツールは,あなたが異なるツールに関する情報を素早く得ることを可能とする,組み込みヘルプ機能を含みます。このスクリーン上のツールについてヘルプを得るには,ヘルプ・アイコンをクリックします。そして示されたツールのアイコンのうちいずれかをクリックします。」(訳文〔甲19〕14頁下から7行目ないし下から4行目)と記載されているから,本件特許出願当時,ヘルプを得るためのアイコン,すなわち,機能説明を表示させる機能を実行させるアイコンも,既に公知の手段であったことが認められる。
そうであれば,乙18発明において,アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる「機能説明表示手段」として,「スクリーン/メニュー・ヘルプ」アイテムに代えて「アイコン」を採用することは,当業者が容易に想到し得ることというべきである。
そして,本件発明の構成によってもたらされる作用効果は,アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる「機能説明表示手段」として周知の「アイコン」を採用することにより当然予測される程度のものであって,格別顕著なものとはいえない。」
(2015.11.20. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2015-11-20 12:40
| 特許裁判例
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