2015年 12月 22日
特許 平成26年(行ケ)第10245号 (機械構造系発明の容易想到性・阻害要因) |
◆計器パネルの発明に関し周知技術を適用することにより主引用発明の機能が失われるとして容易想到性を否定した事件。
【機械構造系発明、進歩性、阻害要因、§29②】
(計器パネル審決取消訴訟)
「 しかし,引用例には,引用発明が,大きい,平坦な面を提供することができるインストルメントパネルを提案することを目的とし,引き出し板40を拡張位置まで引き出すと,カバー20のテーブル面22と引き出し板40のテーブル面42とが同時に使用可能になって2倍の作業面が得られるという効果を奏するものであることが記載されるとともに,さらに,空間30へのアクセスの改善という課題を解決する手段として,引き出しレール70のセットを構成する内側引き出しレール72を,フレーム要素12ではなくカバー20に固着することにより,引き出し板40がカバー20と連係して動くようにする形態が開示されており,かかる形態によれば,引き出し板40を拡張位置まで引き出すと,カバー20のテーブル面22と引き出し板40のテーブル面42とが同時に使用可能になって2倍の作業面が得られるという上記効果を維持しつつ,空間30へのアクセスを良くすることができるという効果をも奏し得ることが開示されているといえる。
そうすると,カバー20のテーブル面22と引き出し板40のテーブル面42とが同時に使用可能になって2倍の作業面が得られるという効果とともに,空間30へのアクセスを良くするという効果を奏するにもかかわらず,引用例や周知例に何らの記載も示唆もないのに,当業者において,周知技術1を適用した上で,更に周知技術2を適用することにより,周知技術1を適用することでカバー20のテーブル面22と引き出し板40のテーブル面22とを同時に使用することができなくなるのを回避することを想起し,あえて引用発明において周知技術1を適用することを,容易に想到することができたということはできない。
したがって,被告の上記主張は,理由がない。 」
(知財高裁4部 高部裁判長、審×→判○)
◆Memo
・周知技術/引用例を組み合わせることにより目的や機能が失われることとならないか(阻害要因)?
・摺動可能や枢動可能ということ自体周知としても、主因例の具体的構造をそのように構成する記載示唆はあるか?
・特徴点に想到したはずである示唆等の重視。
(2015.12.22. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2015-12-22 10:49
| 特許裁判例
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