【不競法2条1項1号、周知な商品等表示、形態の商品表示該当性、かに道楽、パネライ、たまごっち】
◆不競法§2①1 商品自体の形態が”商品表示”に該当する?(1)組立押入れタンス事件(昭和45年12月26日、東京高裁)・商品の形態自体が出所表示機能を備えた場合には、これを商品表示として認める[1](2)ナイロール眼鏡事件(昭和48年3月9日、東京地裁)-認めた初めての例・レンズをナイロン糸で固定する眼鏡枠の商品表示性、周知性を認めた[2](3)以降の裁判例・チョロQ事件(昭和58年1月26日、浦和地裁)・ウェットスーツ事件(昭和58年12月23日、大阪地裁) -色の配色・動くかに看板(昭和62年5月27日、大阪地裁) -看板表示・配線カバー事件(平成元年12月28日、東京地裁)・コイル状防泥マット事件(平成3年11月27日、東京地裁)-特許満了後に不正競争認容・iMac事件(平成11年9月20日、東京地裁)・ジーンズポケットステッチ事件(平成12年6月28日、東京地裁)-商品の模様・パイラック事件控(平成14年5月31日、東京高裁) -形態組合せが1まとまりの商品表示・パネライ事件(平成16年7月28日、東京地裁)-特徴的形状の組合せ[3]
◆参考判決文☞ 商品形態の§2①1該当性について「 商品の形態は,必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが,商品の形態が他の商品と識別し得る独特の特徴を有し,かつ,商品の形態が長期間継続的かつ独占的に使用され,又は,その使用が短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴う場合には,商品の形態が,商品自体の機能や美観等の観点から選択されたという意味を超えて,自他識別機能又は出所表示機能を有するに至り,需要者の間で広く認識されることがあり得る。」(パネライ事件、平成15年(ワ)第29376号、飯村)◆引用少々・「商品形態の表示性と…周知性を未分化のまま判断している裁判例も多い。」[4]・「商品に施された模様・色彩であっても、それが商品に使用されて自他商品の識別機能を持つときは商品表示として保護される」[5]・「商品の形態…は、…同時に商品の形態の個別化を図ることにより自他商品の識別機能を持たせることも少なくない。」[6]・「また、書籍、雑誌のタイトルも商品表示たり得る。」[7]-----[1]小野昌延、「新・不正競争防止法 概説」(2011)、110頁。[2]小野昌延、「新・不正競争防止法 概説」(2011)、111頁。
[3]青山紘一、「不正競争防止法 第4版」(2007)、29頁。
[4]小野昌延、「新・不正競争防止法 概説」(2011)、116頁。
[5]竹田稔、「知的財産権侵害要論」(2003)、41頁。
[6]竹田稔、「知的財産権侵害要論」(2003)、43頁。
[7]竹田稔、「知的財産権侵害要論」(2003)、42頁。
(2015.12.26. 弁理士 鈴木学)