2016年 02月 05日
特許 平成27年(行ケ)第10070号 シャープ発光装置拒絶審決取消訴訟 |
◆LEDに係る発明の進歩性の判断に関し、知財高裁でも進歩性無しと判断された事件。
【進歩性、§29②、最適材料の選択、動機付け、臨界的意義、顕著な効果】
・相違点2aの判断について
「…引用発明2のβ型サイアロンを用いた白色LEDによるバックライト光源は,青色,緑色,赤色の光の成分がシャープなスペクトルから構成
されており,偏光フィルタで分光されたときの光の分離特性がよいため,分離された光は色度座標上における赤,緑,青の色度点の色純度が良くなり,液晶ディスプレイが再現できる色空間が広くなり,色再現性が良い液晶パネルを提供することができること([0075])が記載されている。なお,引用発明2のβ型サイアロン(実施例1~4)は,いずれも,本願発明の<A>の構成を満たしている。
そうであれば,色再現性の更なる改善のために,引用発明1の緑色放出蛍光体として,その開示された条件に従うものであり,かつ,上記の特性からみて色再現性の改善を期待することのできる引用発明2のβ型サイアロンを選択することは,公知材料からの単なる最適材料の選択にすぎず,当業者であれば当然に試みるところであって,容易になし得たことといえる。 」
・顕著な効果について
「…原告は,緑色系発光蛍光体の明るさ,目的とする色温度等,更には相違点2に係る構成なども考慮した上で各種条件を選択してバックライド光源用発光装置に好適な白色光装置を実現することは容易ではなく,その効果も予測できないものである旨を主張するが,組合せが容易であるならば,その具体的適用に際して好適化を図ることは,当業者にとって困難なこととはいえず,その効果も予測できる範囲内のものにとどまる。 」
(知財高裁1部 設樂裁判長 審:×→裁:×)
◆Memo
・最適材料の選択。明細書中に臨界的意義が明らかにされているか。有利な効果。
(2016.2.5. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-02-05 19:12
| 特許裁判例
|
Comments(0)