2016年 02月 05日
特許 平成26年(ワ)第34467号 家畜の人工授精用器具特許侵害訴訟事件 |
◆家畜の人工授精用器具の特許に関し均等侵害の成立等が争われた事件。第1要件、第2要件を充足せず非侵害。均等不成立。
【文言侵害、均等侵害、均等論、特§70、第1要件、第2要件、本質的部分、置換可能性、ボールスプライン最高裁判例】
・第2要件について
「 そうすると,…被告製品は,本件特許発明における「外側パイプ」の外径を小さくするとの効果(少なくとも,「外側パイプ」と「可撓性チューブ」との間に,別の部材が介在しないことによってもたらされる程度以上の効果)を奏するものとはいえない(なお,同クリアランス部分を不要とすることによりもたらされる程度が,別の部材が介在しないことによってもたらされる程度を大きく超える,換言すると,前者と比べて後者が無視できる程度に小さいと認めるに足りる証拠はない。)。 」
・第1要件について
「前記に認定した本件明細書の記載及び本件特許の出願経過によれば,従来の受精卵移植器においては,外側パイプの内部に内側パイプを摺動自在に配設し,同内側パイプのさらに内側に,「柔軟性を有するチューブ」又は「注入器」が摺動自在に配設された構成を有していたところ,このような構成では,外側パイプの外径が大きくなるとの問題があったことから,本件特許発明は,上記内側パイプを省略して,可撓性を有するチューブを外側パイプの内部に押出し自在に配設することにより,外側パイプの外径を小さくして子宮頸管を傷つけることなく容易に挿通することができるとの効果を奏するに至ったものである。
したがって,「牛の子宮体内挿入用外側パイプの内部に,直接的に可撓性のチューブを押出し自在に挿入配設し」た(「外側パイプ」と「可撓性のチューブ」との間に別の部材を介在させない)との構成は,本件特許発明の本質的部分であるというべきである。 」
(東京地裁29部 嶋末裁判長 地:×)
◆Memo
・課題解決手段、作用効果、本質的部分の認定。当てはめ。
・なお、文言侵害/均等侵害は成立していないが、無効理由(§104の3)も判断している。進歩性無し。
(2016.2.5. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-02-05 19:58
| 特許裁判例
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