2016年 02月 18日
特許 平成27(行ケ)10120号モータシール構造無効審判控訴審 |
◆パナソニックvs.沖マイクロ技研。平成3年出願の特許権に対して平成26年に無効審判請求がされた件の審決取消訴訟。知財高裁では、サポート要件、進歩性要件等のいずれも満たすと判断。
・引例と本願発明とで、静止部分のシール構造を得るという思想は共通するがその具体的構造が異なる場合に、本願発明に容易に想到することができたか否かの判断。 「…本件発明における薄板パイプ38及びシール材(Oリング39)と引用発明のシール体zとでは,ガス(高圧蒸気)の隔離,シール作用(気密の確保),電気絶縁に係る作用効果が各々相違しているというべきであり,相違点1に係る本件発明の構成が,設計事項であるということもできない。 また,引用発明におけるシール体zは,弾力性ある部材であり,それ自体でシール構造を成すとともに,ステータxとロータyとを隔てる役割をも果たしていることから,さらにOリング等のシール材を用いる必然性は全くなく,さらに薄板パイプを設ける必然性も認められないから,引用発明において,薄板パイプ及びOリング等のシール材を採用する動機付けがない。また,引用例には,これらを採用する記載も示唆もない。 仮にシール体zをロータyとステータxとの間を隔離する部材であるとみなしたとしても,シール体zにOリング等のシール材を嵌装すれば,Oリング等のシール材を介してシール体zに外力が加わることとなり,この外力により弾力性あるシール体zが変形してロータと接触したり,あるいは気密性が失われたりするおそれがあるため,そのような構成を採用することには阻害要因があるというべきである。 以上によれば,引用発明におけるシール体に代えて,本件発明の薄板パイプ及びOリング等のシール材を採用することは,当業者が容易に想到することができたものということはできず,相違点1に係る本件発明の構成が容易に想到できるものとは認められない。 」 (知財高裁4部 高部裁判長 裁:○)
◆Memo ・機械系のサポート要件の判断。特許法36条5項2号の記載要件も判断(平成3年出願)。 ・技術的思想が一見共通でも、具体的構造の違い、具体的な作用効果の違いを検討。 ・引例の構成では、当該発明のような構造に変更する「必要性」があるか?また「採用の動機付け」(記載示唆)はあるか? (2016.2.18. 弁理士 鈴木学)
【進歩性、特§29②、動機付け、サポート要件、旧特許法36条5項2号要件】
by manabu16779
| 2016-02-18 12:58
| 特許裁判例
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