2016年 03月 01日
特許 平成27年(行ケ)10051号 構造物の目地の構造無効審決取消訴訟事件 |
◆進歩性欠如により特許無効と判断した審決が、一致点・相違点の認定誤りを理由に知財高裁で取り消された事件。
http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/712/085712_hanrei.pdf
「 また,甲1の記載事項(図面を含む。)を全体としてみても,コンクリートブロック又はコンクリート壁がアスファルト又はコンクリートに接する部分に内方向に下り勾配の棚を付ける構成は,このような棚を設けてもコンクリートブロック又はコンクリート壁とアスファルト又はコンクリートとの接合面に隙間が発生することを想定して,所定角度の下向き傾斜面を利用して,植物の屈地性及び屈光性の特性を阻害することにより雑草の成長を阻止するものであることについての記載や示唆はない。 さらに,本件訂正明細書には,甲1を従来技術として挙げて,単純な切り欠き棚による防草では,雑草の屈光性及び屈地性を阻害するまでの角度がなく,望むような防草効果は期待できない旨の記載(段落【0008】,【0012】)がある。 以上を総合すると,植物の屈地性及び屈光性により,植物の茎・葉は上方へ成長するが,下方へ成長せず,根は下方へ成長するが,上方へ成長しない性質を有することは,一般に知られていたことを勘案しても,甲1から,甲1の図3におけるコンクリートブロックの左側面の切り欠き棚の上面(棚面)が,植物の屈地性及び屈光性の特性を阻害することにより雑草の成長を阻止する「防草機能」を有することが開示されているとまで認めることはできない。 したがって,本件審決認定の甲1発明の「連接傾斜面」は,本件訂正発明1の「略V字形の防草傾斜面」にいう「防草傾斜面」に相当するものとは認められないから,甲1発明の「連接傾斜面」は,実質的に本件訂正発明1の「略V字形の防草傾斜面」の構成に相当するとして,相違点(ア)は実質的な相違点であるとは認められないとした本件審決の判断は誤りである。 」
(知財高裁3部 大鷹裁判長 審:×→裁:○)
◆Memo ・本願発明と同様の技術的思想が開示されているか? ・一致点相違点の認定誤りの結果、その相違点に係る容易相当性の判断が行われていないことになり、これが取消理由となる。 (2016.3.1. 弁理士 鈴木学)
【進歩性、一致点・相違点、原告死亡、訴訟引受】
by manabu16779
| 2016-03-01 12:29
| 特許裁判例
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