2016年 03月 11日
特許 平成27(行ケ)10015号 日亜エヴァーライト無効審判控訴審 |
◆「第一の割り溝」と「切り欠いた部分」とを同時に形成することを規定する限定が新規事項追加に該当するか否かが争点となった事件。新規事項追加に該当せず。
【新規事項追加、特§17の2③、明示的な記載、記載されているに等しい、自明な事項、特§29②(進歩性有り)】
「…本件当初明細書には,第一の割り溝と切り欠いた部分を同時に形成するのか否かについては,明示的には記載されていないことが認められる。
しかし,当業者であれば,半導体素子の形成に際して,工程数を削減することは当然に考慮すべき事項であるところ,第一の割り溝と切り欠いた部分はともにエッチングによりp型層3を除去してn型層2を露出させることにより形成されるものであるから,同時に形成することが可能であり,本件当初明細書の記載に照らしても,p型層3表面を基準とした両者の深さを異なるものにする必要性,すなわち,両者を別工程で形成する必要性があるとは認められない。
そして,本件当初明細書の「図1に示すように第一の割り溝を形成すれば,第一の割り溝の表面に電極を形成することもできる」(【0027】)との記載も併せ考慮すれば,本件当初明細書には,p型層3のエッチングにより第一の割り溝を形成する際に,p型層3上に形成するマスクの形状を矩形の隅部が半弧状に切り欠いた形状として,第一の割り溝と切り欠いた部分を同時に形成することも当業者にとって自明な事項であり記載されているに等しいものと認められる。」
(知財高裁1部 設樂裁判長:○)
◆Memo
・明示的な記載がなくても、記載されているに等しい、自明な事項。
・進歩性の判断もされている→ 本願のような構成とするための「指針となる周知技術や技術常識が存在しない」
・文献に開示/示唆がなく、周知技術でもない。
(2016.3.11. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-03-11 18:26
| 特許裁判例
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