2016年 03月 14日
特許 平成27(行ケ)10080斜面保護方法無効審判控訴審 |
◆ワイヤーを用いて斜面を保護する方法に関してワイヤーの引張強度等を限定して特許となった件で、引例2,5,7からの容易想到性が争点となった事件。進歩性肯定。
「…しかしながら,甲2には,甲2発明に用いられる金網の種類,材質及び要求される性能についての具体的な記載はなく,金網を構成する鉄線の引張り強度についての記載も示唆もない。 また,甲2には,金網,補強材及び金網の上方に設置されたモルタルの切土補強に係る機能分担等について述べた記載はない。 さらに,甲2発明の金網が「のり面保護工」に用いられるものであるからといって,直ちに金網を構成する鉄線に要求される引張り強度が特定されるものとは認められない。 そうすると,甲2に接した当業者において,本件優先日当時に知られていた各種強度の多数の金網の中から,本件発明1のワイヤーの引張り強度「400~2000N/mm 2 」の数値範囲に含まれる甲5ないし7記載の「塩化ビニル被覆鉄線」及び「亜鉛めっき鉄線」で製作した金網を選択して,甲2発明に適用する動機付けがあるものと認めることはできない。 したがって,当業者は,甲2発明と甲5ないし7に記載された事項を組み合わせて相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものと認めることはできない。 」 KJSエンジニアリングvs.吉佳エンジニアリング (知財高裁3部大鷹裁判長)
【設計事項/設計的事項、材料選択、進歩性、特許法29条2項、動機付け】
◆Memo:
・一見、単なる最適材料の選択↔ 動機付け。
(2016.3.14. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-03-14 13:23
| 特許裁判例
|
Comments(0)