2016年 03月 16日
著作 平成27(ワ)21642 NAVERまとめ発信者情報開示請求事件 |
◆NAVERまとめサイトに投稿された記事の著作権侵害を理由に、発信者情報(氏名、住所、email)の開示請求が認められた事件。
【著作権侵害、損害賠償請求、匿名、投稿、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法、IPアドレス、創価学会教祖Aレイプ事件】
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/753/085753_hanrei.pdf
「…不法行為に基づく損害賠償請求権を行使するためには,最終的には民事訴訟の提起が必要であるとしても,これに先立って,裁判外で任意の履行請求することは,ごく通常のことであって,電子メールアドレスの開示がこれに資することは,明らかである。
また,法4条の「当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報」は,「氏名,住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるもの」とされ,ここにいう「発信者の特定に資する情報」とは,発信者を特定(識別)するために参考となる情報一般を意味し,開示請求をする者の損害賠償請求等を可能とするという観点から,その相手方を特定し,何らかの連絡を行うのに合理的に有用と認められる情報と解するのが相当である。そして,平成14年総務省令第57号によれば,上記の発信者情報として,「発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称」及び「発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所」のほかに,「発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字,番号,記号その他の符号をいう。)」も掲げられているのであって,電子メールを利用しての損害賠償請求等の方法が合理的にあり得ることは,当
然の前提とされているのであって,氏名又は名称及び住所で特定できないような限定的な場面のみに限定して電子メールアドレスの開示を許容したものとは,解されない。
さらに,現実の権利行使の場面では,氏名又は名称及び住所だけでは発信者の特定が不十分なこともあり得る(例えば,回線契約者として登録されている者が法人であると,メールアドレスが不明な場合には具体的な発信者が特定できないことなども生じ,氏名又は名称及び住所の開示を受けただけでは発信者の特定に至らないことも想定される。)から,この点からも,原告は,電子メールアドレスの開示を受ける必要があるといえる。
以上のとおり,原告が本件投稿者に対して損害賠償請求権を行使するためには,氏名又は名称及び住所のほかに電子メールアドレスの情報も必要であると認めるのが相当であり,電子メールアドレスの情報開示が必要ないとする被告の主張は採用できない。」
創価学会vs.KDDI
(東京地裁29部嶋末裁判長)
◆プロバイダ責任制限法4条 総務省H25資料
(2016.3.16. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-03-16 22:12
| 著作権法
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