2016年 04月 06日
特許 平成26年(ネ)10080号 日揮触媒化成v.三井金属鉱業 二次電池侵害訴訟控訴審 |
◆電池材料に関しナトリウムの含有量を0.12~2.20重量%とすることの容易想到性等が争点となった事件。訂正要件も。
【材料、含有量の数値範囲、周知の課題、進歩性、動機付け、侵害訴訟、訂正、スピネル型マンガン酸リチウム、製造方法、侵害立証、特許法126条5項、除くクレーム】
◆進歩性について
「そうすると,電解二酸化マンガンを原料に用いるスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法である乙11発明において,高温保存性やサイクル特性を向上させるという前記の周知課題の解決のために,ナトリウムを取り込むという広く知られた手段を用いることとし,その際,水酸化ナトリウムで中和することによってナトリウムを含有することが広く知られている電解二酸化マンガンを原料として利用すること(乙15)に着目し,これを原料として使用することでLiMn1.85Li0.1Al0.05O4の結晶構造中にナトリウムを取り込み,それによりマンガンの溶出を抑制することは,当業者が容易に想到することであると認められる。
また,電解二酸化マンガンについて,中和によりどの程度のpHとするか,また,ナトリウムの含有量をどの程度とするかは,ナトリウムの単なる量的条件の決定にすぎず,上記解決手段を具現化する中で適宜選択される最適条件にすぎないから,pHを2以上とするとともに,ナトリウムの含有量を0.12~2.20重量%とすることも,当業者が容易に想到することであるといえる。 」
◆訂正要件の判断(除くクレームの可否について)
「 以上のとおり,本件明細書には,「結晶構造中にナトリウムもしくはカリウムを実質的に含む」形態を除くスピネル型マンガン酸リチウムについて明示的な記載はなく,また,これが本件明細書の記載から自明な事項であるということもできないから,「(結晶構造中にナトリウムもしくはカリウムを実質的に含むものを除く。)」との技術的事項が,本件明細書に記載されているということはできない。
したがって,訂正事項3に係る本件訂正は,本件明細書に記載された技術的事項の範囲内においてするものであるということはできない。 」
(知財高裁2部 清水裁判長)
◆Memo:
・除くクレームの許否…カッコ書きに関する構成(所定の成分を除いた態様etc)が、①明示的に記載されている、or②明示的ではないが明細書記載から自明な事項と言えるか?
(2016.4.6. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-04-06 20:17
| 特許裁判例
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