2016年 04月 15日
特許 平成27年(行ケ)10114号 ランフラットタイヤ拒絶審決取消訴訟 |
◆進歩性判断に関して、本願発明が「顕著な効果」を有するか否か等が争点となった事件。進歩性無し。
【進歩性、特§29②、有利な効果、予測し難い顕著な効果、引例で言及されていない効果、実施例/比較例、何%程度の改善であれば顕著か?】
「 ア ランフラット走行時の耐久性について
…しかし,前記⑶及び⑷のとおり,ランフラット走行時の耐久性は,①引用発明1により,約5割から7割向上したこと及び②引用発明2により,約2割から3割向上したことが認められ,この点に鑑みると,本願発明の前記効果は,当業者が主引例である引用発明1に副引例である引用発明2を組み合わせた構成から予測できる範囲内のものにとどまるというべきである。
イ 通常走行時の低転がり抵抗性について
…この点に関し,引用例1及び2のいずれにおいても,通常走行時の低転がり抵抗性については開示されておらず,本願発明の前記効果を引用発明1及び2の効果と比較することはできない。
もっとも,前記⑵のとおり,本願発明の実施例における転がり抵抗(指数)は,比較例の100に対し,実施例1が92,実施例2が94,実施例3が68,実施例4が75,実施例5が92,実施例6が93であり,これら6例の実施例のうち実施例1,2,5及び6の4例は,数%の減少にとどまっている。この点に鑑みると,通常走行時の低転がり抵抗性の向上についても,本願発明の効果は,さほど顕著なものとはいい難い。
ウ 以上によれば,本願発明の効果は,当業者において,引用発明1から容易に想到する本願発明の構成を前提として,予測し難い顕著なものであるとまではいうことはできず,本件審決に顕著な効果を看過して進歩性を否定した誤りはない。」
(知財高裁4部高部裁判長 審:×→裁:×)
(2016.4.15. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-04-15 18:28
| 特許裁判例
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