2016年 04月 27日
特許 平成27年(ワ)8755号 飲用量容器特許権侵害訴訟事件 |
◆「解除押動部に対して…スライド移動するストッパ部」の充足性等が争点となった事件。技術的範囲に属する。なお、進歩性欠如の無効理由があり、権利行使制限。
【技術的範囲、権利範囲の解釈、特§70、§104の3、 海調林、ドウシシャ、機械構造系の顕著な効果(進歩性) 】
(ストッパ部と解除押動部の間に「クリアランス」があるようなものは、当該構成要件を充足しないと言えるか?)
「…本件発明1及び2は,容器本体の上部に飲口部,閉塞蓋,係止部及び解除押動部を備えた従来の飲料用容器は,解除押動部を操作不能の状態に保持する機能を有していなかったため,誤って閉塞蓋が不意に開放してしまい中身が漏れ出てしまうという問題点があったところ…,上記問題点を解決するために,解除押動部の押動作動を阻止するストッパ部を設け,このストッパ部をスライド移動させることで解除押動部の押動可能状態と押動不能状態との切替操作をできるようにするとともに,容器本体を携帯した手の指で容易にこの操作を行うことができるようにした発明であって…,これによって解除押動部の誤操作を確実に防止し,ストッパ部を指でスライド操作した後に同じ指で解除押動部を押動操作するという一連の動作で行うことができることや片手で容易に操作可能であることといった効果を奏する…と認められる。
そうすると,本件発明1及び2のストッパ部は,スライド移動することで解除押動部の押動可能状態と押動不能状態を切り替えるものであるから,押動作動を阻止する構成として,ストッパ部がスライド移動することにより解除押動部に直ちに当接し,それによって解除押動部を押動不能とする構成に限定されることはなく,ストッパ部と解除押動部との間にクリアランスが存在しても,解除押動部を押動しようとするとこれがストッパ部に当接し,押動作動が阻止されるものであれば,構成要件1H,1I及び2Iを充足するというべきである。 」
上海調林、ドウシシャ
(東京地裁46部 長谷川裁判長)
◆Memo:
・明細書に基いて発明内容把握→クレーム文言の意味解釈。
・「~という問題があったところ…上記問題点を解決するするために…~できるようにし…これによって…~を防止し,…~という効果を奏する」
(2016.4.27. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-04-27 18:36
| 特許裁判例
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