2016年 11月 07日
不競 平成28年(ネ)10051号 フルーツ青汁事件 |
◆青汁のパッケージ等に関してデッドコピー(形態模倣)と言えるか否かが問題となった事件。知財高裁でも非類似。
◆東京地裁 平成27年(ワ)29222号 非類似
【商品パッケージ、文字、商品説明、デッドコピー、§2①3で何が保護されるか、「商品の形態」の定義、2条1項3号】
◆知財高裁
平成28年(ネ)10051号
非類似
「…
「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際
して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状
に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいうから(不正競争防止法2条4項),控訴
人商品の包装箱の表面及び裏面の記載について,商品の形状に結合した模様と認め
られる限度においてこれを参酌することが相当である。
そこで検討すると,甲3の1,甲4の1及び弁論の全趣旨によれば,①控訴人主
張の控訴人商品の包装箱の表面に記載された控訴人商品の商品名は,白地の表面中
央部に配置された直径約14cmの濃緑色に塗り潰された円の中央部に,白抜きで
4文字(すっきり),4文字(フルーツ),2文字(青汁)の3段に,概ね同一のフ
ォントで書されたものであり,上記円内の商品名の下部には黄色に塗り潰された円
と黄色の欧文字6字(FABIUS)とが横一列に配置されていること,これに対
し,被控訴人商品の商品名は,表面右側に配置された縦約15cm,横約7cmの
薄緑色に塗り潰された帯状の長方形の上部に,白抜きで5文字(フレッシュ),4文
字(フルーツ),2文字(青汁)の3段に,最下段の青汁の文字が他の文字の約2倍
のフォントで書されたものであり,その長方形内の商品名の下部には濃緑色の液体
が注がれたワイングラスが配置されていること,②控訴人主張の控訴人商品の包装
箱の表面に記載された「81種類の酵素と青汁」という文字は,表面上部に,表面
全体の背景色である白色を背景として,「あなたの美と健康をサポート。」という文
字とともに,その右側に,「81種類の酵素」がピンク色,「と」が黒色,「青汁」が
緑色で,横一列に書されていること,これに対し,被控訴人商品の「80種類の酵
素と青汁」という文字は,表面最下部に縦約2cmの幅で水平方向を貫く黄色に塗
り潰された長方形内に,「あなたの『取り戻したい!』を応援します。」という文字
とともに,その右側に,「80種類の」が白抜き,「酵素」がオレンジ色の円内に白
抜き,「と」が白抜き,「青汁」が緑色の円内に白抜きで,横一列に書されているこ
とがそれぞれ認められる(別紙控訴人商品・被控訴人商品の各表面の形状等一覧参
照)。
そうすると,被控訴人商品の商品名及び「80種類の酵素と青汁」という表示を
含む包装箱表面の模様は,緑色の背景に白抜きで商品名が記載されており,「80種
類の酵素と青汁」という文字列が記載されているという点において,控訴人商品の
包装箱表面の模様と類似するということができるものの,商品名が配置されている
位置や背景の形状,同一の背景の中に描かれた他の模様が著しく相違しているし,
「80種類の酵素と青汁」という文字列が配置されている位置,背景及び文字色も
大きく異なっており,その余の部分も含めた包装箱表面の模様全体としてみると,
その類似性は低いものと認められる。
また,甲3の2,甲4の2及び弁論の全趣旨によれば,③控訴人主張の控訴人商
品及び被控訴人商品の各裏面の栄養成分表示と商品説明文は,配置や記載内容は類
似するものの,いずれも青汁という製品に共通する格別の特徴がないありふれた形
態であると認められる。
以上によれば,控訴人主張の控訴人商品の形態のうち,包装箱及び銀包の形状並
びに包装箱裏面の栄養成分表示と商品説明文については,同種の製品に共通する特
徴のないごくありふれた形態であって,「商品の形態」を構成するものとはいえない
し,包装箱表面の商品名及び「81種類の酵素と青汁」という文字を商品の形状に
結合した模様として参酌しても,それらを含む包装箱表面の模様全体の類似性は低
く,実質的に同一の形態ということはできないから,被控訴人商品が控訴人商品の
「商品の形態を模倣した商品」であると認めることはできない。」
(知財高裁2部清水判事、平成28年10月31日)
「…原告商品と被告商品は、包装箱及び銀包の形状及び寸法 包装箱の表面の一部及び裏面の記載について,実質的に同一であるということができる。しかし の点については,原告商品の包装箱は,内部に仕切りが設けられているものの,簡易な構造で3か所に仕切られているにすぎず,外観も封筒と同様の形状であることからすれば,全体としてみると,包装材の形状として特徴的なものでないものと認められる。また,原告商品の銀包についても,粉末を密封する包装材としてありふれた形状である。の点については,「商品の形態」とは需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいうところ(不正競争防止法2条4項),原告商品の包装箱の表面及び裏面の記載のうち被告商品と共通する部分はいずれも原告商品を説明した文章にすぎないから,商品の形状に結合した模様には当たらないというべきである。これらのことからすれば,原告商品の包装箱及び銀包の形状及び寸法,包装箱の表面及び裏面の記載はいずれも同条1項3号により保護されるべき「商品の形態」に当たらないと解されるから,被告商品が原告商品の「商品の形態を模倣した商品」であると認めることはできない。したがって,不正競争防止法に基づく原告の請求はその余の点を判断するまでもなく理由がない。 」
(東京地裁46部 長谷川裁判長)
◆Memo:
・形態模倣(不§2①3)で保護される範囲。商品パッケージの表示(文字)等の場合、注意。
・形状/模様/色彩/光沢/質感 ⇔ 形状に結合しない模様。不競2条4項。
・知財高裁では、「模様」と認められる範囲で説明文も考慮(追記@11/7)。
(2016.5.9. 弁理士 鈴木学)
(2016.11.7. 追記)
by manabu16779
| 2016-11-07 19:31
| 不正競争防止法
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