2016年 06月 06日
商標 平成27年(ネ)10117号 TKD商標権侵害事件 |
◆取引実情に鑑み、商標が非類似であると主張したが、認められなかった事件。商標類似、侵害。
http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/717/085717_hanrei.pdf
「 (3) 取引の実情について 控訴人が考慮すべきと主張する取引の実情のうち,①本件商標1と被告登録商標は,元は武田製作所が使用していたものであること,及び,②控訴人代表者は武田製作所の取締役を務めていたことという点は,控訴人が武田製作所への信頼を引き継いだのであるから,控訴人が被告標章を使用しても出所混同のおそれがないという趣旨だと一応解される。しかし,被控訴人も武田製作所のグループ会社であって,武田製作所破産手続開始決定後もロータリージョイント標準品の製造・販売を行っていたものと認められるから(甲16),控訴人のみが武田製作所への信頼を引き継いだとは認めるに足りず,控訴人による被告標章の使用が,被控訴人との間での出所混同のおそれを生じさせないとはいえない。 また,③控訴人の顧客は,控訴人の株主,控訴人を認証工場としている会社,武田製作所の顧客であった会社等であって,控訴人代表者を信頼して引き続き控訴人に注文をしているという点については,控訴人が一般に向けて宣伝・広告活動を行っているから(甲5~11,乙3),控訴人主張の上記のような顧客がいるとしても,他に顧客又は潜在的顧客が存在しないとはいえず,出所混同のおそれがないことの理由にはならない。 さらに,④需要者が商品の性能を吟味して被告商品の購入を決定するという点については,需要者が購入前に当該商品の性能を吟味するとしても,付された商標にも着目してその出所の信用をも勘案するであろうから,性能を吟味することのみをもって出所混同のおそれがないとはいえない。 ⑤需要者にまず認識されるのは被告登録商標であって被告標章ではないという点については,仮に,被告標章と被告登録商標とが常時,共に用いられるとしても,需要者が常にまず被告登録商標に注目するとは限らない上,被告登録商標を付した製品の出所は,本件商標1と類似した被告標章の出所,つまり,被控訴人であるとの誤認を招く可能性もあるから,必ずしも出所混同のおそれを低減させる理由とはならない。 (4) 小括 したがって,本件商標1の要部は「TKD」の文字部分であり,本件商標と被告標章の要部は共に「TKD」の文字部分であるから,控訴人主張の取引の実情を上記のとおり評価して考慮しても,両者は類似するものといえる。よって,控訴人による被告標章の使用は,被控訴人の本件商標権を侵害するものである。 」 Takeda Works vs. 武田エンジニアリング (知財高裁2部清水裁判長) (2016.6.6. 弁理士 鈴木学)
【商標類否判断、取引実情、武田製作所、破産、グループ会社、出所混同、誤認】
by manabu16779
| 2016-06-06 12:29
| 商標
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