2016年 08月 01日
特許 平成27年(行ケ)10200号 蓋用包装用シート無効審決取消訴訟 |
◆バーコード表示のある蓋用包装用シートの進歩性が争点となった事件。進歩性無し。
【進歩性、バーコード、医療用、サイズ、設計的事項、効果の認識、構成の開示、当業者が当然に検討】
(創作容易性)
「… そして,引用発明1において,従来から存在する目視用の「商品名・内容物の取り出し方法などのマークや文字等」の表示に加え,バーコード表示を付加しようとすれば(引用例3及び4においても,マークや文字等の表示に加えバーコード表示を実施する例が記載されている。),バーコード表示のためのスペースは限られたものとならざるを得ないことが普通に想定される。したがって,当業者において,バーコード表示のサイズは,その機能を担保しうる限り,バーコード表示のためのスペースに応じて,適宜選択される設計的事項であるということができるところ,医療用医薬品に使用されるバーコードとして,「公称0.169mm/モジュール」であるバーコードサイズは,当業者にとって従来周知の技術である(引用例4,甲24)。
さらに,バーコードを読み取りやすいものとすることは当然のことであり,バーコードリーダーで,付与されたバーコードを正確に読み取ることのできる限りにおいて,バーコードの読み取りの精度をどの程度のものとするかは,当業者が適宜設定する事項であるから,引用発明1において,「公称0.169mm/モジュール」のバーコード表示を試みる際,そのバーコード表示を,「バーコード検証機で10回スキャンしたときのANSI規格で定められている総合評価」において,最高品質である「A」のものとすることは,設計的事項にすぎないということができる。
(イ) そして,本件発明1は,前記1(2)のとおり,アルミニウム箔上に透明ないし半透明の下地層を,下地層上に白着色層を,白着色層上にバーコードを含む印刷層を設ける層構造を採用することにより,バーコードの読み取り性能を高めるものであるところ,引用発明1も後記のとおり本件発明1と同様の「透明な下地層」を設けた層構造を有しているから,当業者において「透明な下地層」の効果を意識するか否かにかかわらず,引用発明1にバーコード表示を実施すれば,結果として,本件発明1と同様に,バーコードの読み取りに関して高い読み取り性能を得ることができるものである。
(ウ) 以上によれば,引用発明1において,引用例3及び4に記載された事項を踏まえ,相違点1に係る本件発明1の構成を備えるようにすることは,当業者が容易に想到することができたことである。 」
東洋アルミニウム、 UACJ
(知財高裁4部高部裁判長、平成28年7月28日、審:×→裁:×)
(2016.8.1. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-08-01 12:18
| 特許裁判例
|
Comments(0)