2016年 09月 13日
特許 平成27年(ワ)23129号 スキンケア用化粧料事件 |
◆DHCの化粧品が富士フィルムの特許権を侵害しているかが争点となった事件。技術的範囲に属すると判断されたが、進歩性欠如の無効理由があり権利行使制限。
【技術的範囲、侵害訴訟、化粧品、権利行使制限、進歩性、特§29②、特§104の3、アスタキサンチン、pH調整、クエン酸】
「1 争点(1)(構成要件1-C「pH調整剤」の充足性)について
(1) 原告が被告製品に含まれるクエン酸が「pH調整剤」に当たると主張するのに対し,被告は,上記クエン酸は被告製品のpHを5.0~7.5の範囲にするものでなく,その量もごく微量であるから,「pH調整剤」に当たらないと主張するので,以下検討する。
本件発明は,アスタキサンチン等を含むエマルジョン粒子(構成要件1-A),リン酸アスコルビルマグネシウムなどのアスコルビン酸誘導体(同1-B),pH調整剤(同1-C),トコフェロール(同3-A)及びグリセリン(同4-A)を含有するスキンケア用化粧料(同1-D)に係る発明であるところ,特許請求の範囲の文言上,「pH調整剤」の具体的な内容については記載がなく,本件明細書には「pH調整剤としては,一般にこの用途で用いられるものであればいずれも該当し」との記載がある(段落【0065】)。これらのことからすれば,「pH調整剤」とは,その字句のとおり,pHを調整する剤をいうと解するのが相当である。
そして,クエン酸は本件明細書においてpH調整剤として例示されているところ(段落【0065】),証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば被告製品からクエン酸を取り除くとpHが大きく(被告製品1において約0.6,同2において約0.7)変化することが認められ,被告製品に含まれるクエン酸はpHを調整する機能を有しているということができる。したがって,被告製品は構成要件1-Cを充足するというべきである。 」
(東京地裁46部長谷川裁判長)
(2016.9.13. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-09-13 19:19
| 特許裁判例
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