2016年 09月 29日
特許 平成28年(行ケ)10020号 横型冷蔵庫無効審判審決取消訴訟事件 |
◆横型冷蔵庫の発明につき進歩性の有無が争点となった事件。進歩性無し(審判:○→高裁:×)。
【進歩性、特許法29条2項、①技術分野②課題の共通性③作用効果の共通性④動機づけの有無⑤設計的事項/阻害要因を評価して容易想到性を判断】
「 (1) 取消事由1(本件発明の進歩性の不存在-甲1発明を主引用例とするもの)について
ア 甲1発明への甲7に記載された事項の適用について
…略…
以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,少なくとも,複数の保存室を有する冷蔵庫に関するものという点で,技術分野が共通である。
…略…
以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,使用用途の拡大,収容できる要冷蔵品の幅を広げることという点で,課題が共通であるということができる。
…略…
以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,蒸発器を 1 つ設けるか複数設けるかという違いはあるものの,1つの圧縮機及び1つの凝縮器を,冷却器ないし冷却パイプと連結し,その中に冷媒を循環させ,冷媒の蒸発により,冷蔵庫内の複数の保存室を冷却するという作用・機能において,共通する。
…略…
以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項とは,一般的な技術分野及び課題等を共通にするだけでなく,甲1に記載された実施例3及び4と甲7に記載された事項とにおいて,上の断熱箱体における冷却中の保存品の乾燥を防止するという具体的課題も共通するものであるから,甲1発明につき,上の断熱箱体の保存室の内部の冷却方法として,甲7に記載された冷却パイプの設置による冷媒の蒸発による冷却方法を適用する動機付けがあるといえる。
…略…
以上によれば,上下の断熱箱体の間に冷気を通すための開口部がない構成になることや,蒸発器を複数有する構成になることが,甲1発明に甲7に記載された事項を適用することの阻害事由たり得るとは認められない。
(ウ) したがって,本件発明1の相違点2に係る構成は,本件出願時,当業者が,甲1発明及び甲7に記載された事項から容易に発明をすることができたといえる。 」
福島工業、ホシザキ
(知財高裁2部清水裁判長)
(2016.9.29. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-09-29 13:10
| 特許裁判例
|
Comments(0)