2016年 09月 30日
特許 平成27年(行ケ)10259号 ロータリーディスクタンブラー錠用鍵事件 |
◆鍵の発明の進歩性が問題となった事件。容易想到ではない(進歩性有り)。
【進歩性、動機づけ、明らかに動作機構が異なるもの、鍵、ロータリータンブラー、揺動式、回転式】
(容易想到性)
「 ⑶ 相違点1及び4に係る容易想到性について
ア 相違点1は,錠の構成の相違であり,前記⑵イのとおり,本件発明における錠は,環状ロータリーディスクタンブラーが,その実体部の1か所を軸支する支軸を中心に揺動するというものであるのに対し,引用発明1における錠は,セキュリティ・メンバー21(環状ロータリーディスクタンブラー)が,その組み合わされるキャリア(仕切板)のボス22aの中心軸線の周りを回動するというものであり,両者の錠は,明らかに動作機構を異にする。そして,本件発明及び引用発明1は,それぞれの錠に対応する合鍵に係るものであるから,環状ロータリーディスクタンブラー(セキュリティ・メンバー21)に設けられた係合突起(突起24)に係合することによって解錠する合鍵の窪みに関する相違点4も,前記動作機構の相違に対応するものということができる。
引用例1には,引用発明1における上記動作機構の錠及びこれに対応する鍵16についての課題は,記載も示唆もされていない。証拠上,本件特許出願当時,上記錠ないしこれに対応する鍵16についての課題に関する技術常識が存在したとは認めるに足りない。
したがって,本件特許出願当時,当業者が,引用発明1において,明らかに動作機構を異にする本件発明における錠及びこれに対応する合鍵に係る構成を採用する動機付けの存在は認めるに足りないから,上記採用により相違点1及び4に係る本件発明の構成を容易に想到し得たということはできない。 」
美和ロック
(知財高裁4部高部裁判長)
(2016.9.30. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-09-30 19:26
| 特許裁判例
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