2016年 10月 28日
特許 平成28年(行ケ)10058号 ドライブスプロケット支持構造 |
◆引用発明の認定誤りを理由に無効審判の審決が取り消された事件。
【進歩性、特許法29条2項、引用発明の認定、一致点・相違点の認定】
「以上を考え合わせると,前記の左側の部分が,ドライブスプロケット21とポンプハブ11が軸方向に相互に移動自在ではない状態で固定されていると認定することはできない。
ウ ところが,審決は,甲2発明は,「ドライブスプロケット21が左側張出部の内周面でポンプハブ11の外周面に結合し,中央部の内周面及び右側張出部の内周面でポンプハブ11にスプライン結合した状態」であるとして,「左側張出部の内周面」の「ポンプハブ11の外周面」との「結合」が,軸方向移動自在ではない状態で固定されており,そのため,ドライブスプロケット21が回転中のポンプハブ11に対して軸方向に移動自在ではないことを前提に,相違点1を認定していると認められる。
したがって,審決の上記認定は,誤りといわなければならない。
2 小括
本件発明1は,その請求項1の文言からして,少なくとも,ドライブスプロケットと回転軸が相互に軸方向に移動自在であるドライブスプロケット支持構造であると認められる。これに対し,審決は,上記1(3)のとおり,甲2発明において,ドライブスプロケット21がポンプハブ11に対して軸方向に移動自在でないとし,この点を両発明の実質的な相違点とする。この審決の判断は,甲2発明の認定を誤った結果,相違点の認定を誤ったものである。
そうすると,かかる相違点の認定を前提とする相違点の判断も誤りであり,これらの誤りは,審決の結論に影響を及ぼすといえる。 」
富士重工業
(知財高裁2部清水判事)
(2016.10.28. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-10-28 18:28
| 特許裁判例
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