2016年 11月 11日
実用 平成28年(行ケ)10047号 空気の電子化装置事件 |
◆活性酸素種を生成する装置の考案の進歩性が問題となった事件。引用発明からの動機付け等がなく進歩性肯定(審決取消)。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/234/086234_hanrei.pdf
(容易想到性) 「… イ また,前記2(2)イのとおり,甲1の記載から,O - に磁界のみをかけた場合にも,現実的な装置設計の範囲内で,3重電極により発生する電界をかけた場合と同程度のオゾンの収率が確保できるのかは明らかではなく,他にこの場合のオゾンの収率を推定し得る技術常識を認めるに足りる証拠はないことを考え併せれば,甲1考案の3重電極33を省略する動機付けは認められない。 ウ さらに,回転させる対象を,O - から電子に替える場合には,それに伴い,甲1考案の3重電極33を省略する動機付けがあるかにつき,別途検討する必要があると解されるので,この点につき検討するに,前記2(2)ア(イ)のとおり,甲1考案は,オゾン生成エネルギーを有する酸素原子O - に着目し,これを回転電界により強制的に回転させ,ガスの自然拡散の方向と異なる螺旋軌道を描かせることにより,酸素分子との衝突確率を増加させ,オゾン収率の向上を図る(【0006】)ことを課題解決手段とするものであって,甲1の記載中に,回転運動の対象となる荷電粒子を,O - から電子に変更することにつき,示唆があると認めることはできず,他に前記変更についての動機付けの存在を認める足りる事実はない。 エ 以上のとおりであって,甲1考案において,励起の対象が「酸素ガス」であり,その励起手段が「3重電極」及び「コイル」であるという構成に替えて,励起の対象が「空気中の酸素分子」であり,その励起手段が「電磁コイル」であるという構成を適用することは,動機付けを欠き,本件考案1は,甲1考案並びに甲2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたとはいえない。 6 まとめ 以上のとおり,審決の認定した甲1考案の認定には誤りがあり,本件考案1は,甲1考案と同一ではなく,また,甲1考案並びに甲2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたとはいえない。」 公郷生命工学研究所 (知財高裁2部清水判事)
◆Memo: ・引例の課題解決原理の検討→ 変更/省略の動機付けの評価 (2016.11.11. 弁理士 鈴木学)
【実用新案、きわめて容易、新規性、進歩性、引用発明の認定誤り、変更/省略の動機付け、容易想到性、周知技術、審決取消訴訟】
by manabu16779
| 2016-11-11 12:20
| 特許裁判例
|
Comments(0)