2016年 12月 09日
特許 平成28年(行ケ)10011号 掘削土飛散防止装置事件 |
◆掘削土の飛散防止装置の発明に関し、主引例と副引例とは使用態様が異なるものであって組合せの動機付けを欠くとして、進歩性が認められた事件。
【進歩性、特許法29条2項、動機付け、周知技術の名を借りた新たな引用例に基づく主張、引例の装置全体からワイヤーに関する構成だけを取り出すことの可否、新規性、無効審判、審決取消訴訟】
「 …このように,引用発明6の掘削土飛散防止装置のジャバラ筒4は,削孔作業中,下端と地表との間に所定の高さを有するのに対し,引用発明の伸縮カバー(34)は,掘削時,下端が掘削場所の周囲を覆うように設置され,接地しており,使用態様が相違する。そして,作業中,筒状部の下端を所定の高さに維持することを前提とした引用発明6の掘削土飛散防止装置を,筒状部の下端を接地させる引用発明に適用することは直ちに想到できるものではない。
(ウ) 動機付けについて
以上のとおり,引用発明6の掘削土飛散防止装置は,堆積土砂の取除きや羽根上の土砂の取除き作業を行うことを目的とするものである一方で,引用発明の伸縮カバー(34)がこのような目的を有するということはできないほか,引用発明6の掘削土飛散防止装置のジャバラ筒4と,引用発明の伸縮カバー(34)とは,作業中,下端が接地しているか否かで使用態様も異なるものであるから,引用発明6の掘削土飛散防止装置を引用発明の伸縮カバー(34)に組み合わせようとする動機付けは存しないというべきである。
したがって,引用発明において相違点2に係る本件発明1の構成を備えるようにすることを,引用発明6に基づいて当業者は容易に想到することができない。 」
高知丸高、 横山基礎工事
(知財高裁4部高部判事、平成28年12月7日)
◆Memo:
・引例の構成全体から一部構造のみを取り出せる?
(2016.12.9. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-12-09 12:16
| 特許裁判例
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